高学年になると子どもの反抗的な態度に手を焼くことも増えてきます。「言うことは一丁前だけど、だったら自分のことはすべて自分でやって、好きにすればいい」なとど思ってしまうこともあるかもしれません。時にはそんな日があってもいいのですが、学校でのトラブルや中学受験へのやる気、あるいは人間関係の悩み事が、全く伝わってこなくなっては心配です。では反抗期の子どもと、信頼関係を築くにはどうしたらいいのでしょうか。

ほあしこどもクリニック副院長であり、臨床心理士の帆足暁子さんにお話を聞きました。

【年齢別特集 小学校高学年ママ・パパ向け】
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 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

半分大人で、半分子ども。突き放すと依存してくる

 小学校4年生以降の思春期に差し掛かる時期は、親子の関係が大きく変わるタイミングだと帆足さんは言います。

 「幼児期から小学校低学年くらいまでは、親側は『自分が育てなければ』という責任感がとても強いのですが、この時期以降は一方的に育てるという関係性ではなくなっていきます」

 年長から低学年ごろの中間反抗期の子どもは、「ママだって片付けないのに、どうして私だけ片付けなきゃいけないの!?」「パパがゲームしているなら、なんで僕はやっちゃいけないんだ!」「おかしいじゃないか、同じ人間として」と自分の中だけの理論を組み立てて、口答えする時期。

 でも、そうやって正面から口答えをするのは大人に分かってもらおうと期待しているからであって、中学年以降は「期待しても気持ちを分かってもらえなかった」経験を踏まえ、「結局親なんてこんなもの。やっぱりダメじゃないか」と思うようになるそう。

 「『こうしなさい!』という言葉に対し、『だったらお母さんはどうなの? できていないじゃない? だから私もやらなくていいでしょう?』などと、一見筋の通った言い方をしてくる。すると親は『そこまで言うなら、一人で育っていけばいいじゃない』と子どもを突き放したくなるのですが、この時期の子どもは半分大人で、半分子ども。一人では生きていけないことが分かっているから簡単に追い詰められて泣いてしまうし、依存する気持ちも出てきます」

 反抗してきても、そこは子ども。ではどうしたら、親子関係をこじらせずにすむのでしょうか。今回は特に10歳の子どもと親の関係を中心に見ていきます。

<次のページからの内容>

● 親が子に腹が立つのは「『子ども』として見過ぎている」から
● 『お互いに一人の人間』と認め合う覚悟をする時期
● 親は「子どもを守りたい」という強い気持ちがあっていい
● 親は、口を出し過ぎない
● 子どもが親に不満があると、それが反発という形で表れる
● 子どもと同じレベルに落ちない