2月1日から始まった東京・神奈川の中学入試から1週間が経ち、受験生の進路もおおよそ決まったことと思います。一般的に小学3年生の2月からスタートする中学受験準備。小学校生活の約半分を費やす一大プロジェクトを終え、今、親子でどんな思いで過ごしていますか?

第一志望校に合格できた子、できなくて第二~三志望の学校に通うことになった子、高校受験でリベンジすると決めた子など、様々な選択を迫られたと思いますが、入試の結果にかかわらず、受験生親子にとっては大きな山を越えたタイミング。「結果は結果」と受け止めるしかありません。でも、受かっても燃え尽き症候群になったり、落ちて傷ついたりと、実は精神的なケアが必要な時期でもあります。2~3月の過ごし方は、その後の中学入学以降の新生活の基盤を作るうえでも大切です。

そこで、2月の高学年向け年齢別特集の前半では、中学受験を終えた後の受験生親子のフォローや、4月以降の中学生活をスムーズに好スタートするための心得などについて紹介していきます。第1回は、中学受験のプロ家庭教師・安浪京子先生に、ご自身の体験も含めて、アドバイスをしてもらいました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 中学受験終結 結果はどうであれ子も親も心を癒やして ←今回はココ
(2) 心療内科医が教える 中学受験直後の心の受け止め方
(3) 過保護と放任の線引きは? わが家の放課後ルール
(4) “一人留守番っ子”の家庭学習はどうフォローする?

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

入学後に待っている“ギリギリ合格の悲劇”。浮かれ過ぎず、謙虚に受け止めて

 中学受験の最終目的は、志望校に合格することです。そのために、一般的には小学3年生の2月から大手進学塾に通い、受験のための勉強をします。その間、常に上位成績をキープしている子もいれば、上下の浮き沈みの激しい子、下位成績から直前期に一気に伸びる子など様々です。

 しかし、誰もが「この子は絶対に合格するだろう」と思っていたような優秀な子が、試験当日、思うように実力が発揮できず、不合格になってしまうこともあります。また、逆に「この学校に合格するのは正直厳しいだろう」と思われながらも、チャレンジで受験した学校にたまたま合格してしまう子もいます。よく“受験は水もの”と言われますが、それが顕著に表れるのが、まだ発達段階の途中である小学生が挑む中学受験なのです。

 とはいえ、どんな状況であっても合格が手に入るのは嬉しいこと。特に偏差値が高い難関校に合格できれば、その後の夢も広がることでしょう。

 しかし、ここで警鐘を鳴らすのは、毎年多くの小学生を難関校合格へと導いているプロ家庭教師の安浪京子先生です。

 「確かに合格は喜ばしいことです。合格通知を受けたその日は、思いっきり喜び、これまで頑張ってきたお子さんを褒めてあげましょう。でも、いつまでも浮かれていてはいけません。なぜなら、ギリギリで合格した子には、その後に厳しい現実が待ち構えているからです」

 「私の教え子に、サピックスでA~Bクラスをさまよっている子がいました。小学生には珍しくないことですが、その子はまだ少し幼く、自主性にやや欠けているところがありました。でも、お母さんの『子どもを上位校に入れたい』という気持ちが強く、中学受験の勉強を進めていました。入試では同じ学校を3回受けて、3回目でようやく合格。それも、日ごろの本人の実力を上回る逆転合格だったんです」

 「お母さんは大喜び。しかし、喜んだのも束の間、入学後の授業に全くついていけません。中間・期末のテストの結果は常に最下位。そして、今もその状況が続いています。ギリギリ合格の子には、こういう現実もあることを知っておいてほしいと思います」

 では、どうしたらいいのでしょうか?

「中学受験は人生のゴールではありません。むしろ、これからの勉強が本当の勉強であることを知っておいてほしいと思います」(安浪京子先生)
「中学受験は人生のゴールではありません。むしろ、これからの勉強が本当の勉強であることを知っておいてほしいと思います」(安浪京子先生)
<次のページからの内容>
● 学習習慣を崩さない! 代数と英検の問題集に取り組んで
● まさかの不合格を一晩で乗り越えたAちゃん。でも、親御さんは……
● B君の親御さんは、繰り上げ合格を信じて、1カ月以上、電話を握り締めていた
● 東大に合格して「やっと私の中学受験が終わった」
● 失敗は親のせいではない
● 中学受験が終わったら、塾なし生活へ。自分の足で立つ