小学校の算数の授業で「習熟度別学習」が実施されている学校もあるのではないでしょうか。ただ、学校からの説明があまりなく、子どもに聞いてもよく分からず、どのような目的でどんな授業が行われているのか、いまいち見えてこないという人もいるかもしれません。いま、小学校の算数の授業ではどのような取り組みが展開されているのでしょう。東京家政大学家政学部児童教育学科教授の石田淳一さんに話を聞きました。

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理解度の差に対応するための授業スタイルの1つ

 「習熟度別学習というのは、学校で取り入れられている学びのスタイルの1つです。2002年に文部科学省が『きめ細かな指導で、基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける』という教育方針を打ち出し、スタートしました。

 ただし、習熟度別学習は日本全国すべての学校で実施されているものではなく、自治体によって教育委員会の方針で実施しています。中には自治体の方針がなくても学校の判断で実施することもあり、習熟度に差が出やすい一部の単元でのみ取り入れることもあるようです。教科は小学校の場合は算数と国語が中心です」。このように話すのは、算数の教育法に詳しい東京家政大学家政学部児童教育学科教授の石田淳一さんです。

 石田さんによると小学校で学ぶ教科学習の中でも、特に子どもたちの理解度に差が出やすいのが算数なのだそう。「子どもの理解度が大きく異なっていると、授業を効率的に進めるのが難しいのも事実。生徒が自分の理解度に合った授業を受け、それぞれのコースでの学びを深めるために、算数で習熟度別学習が導入されているケースが多い」と石田さんは説明します。

 ただ、習熟度別学習は、文字通り習熟度によってクラスが振り分けられるため、「下のクラスに入れられて恥ずかしい」「一番上のクラスに入れなくて悔しい」といったことがストレスになる子どももいるでしょう。わが子が、振り分けられたクラスに関して不満やストレスを抱いている場合、親はどう声掛けをしてあげればいいのでしょうか。

 また、こうした特別な授業スタイルの内容を知った上で、学びの効果を上げるために、家庭でも働きかけるべきことがある、と石田さんは言います。それはどのような方法なのでしょうか。具体的に聞いていきましょう。

この記事で読める内容
・習熟度別学習の効果を高めるために大事なのは、子ども自身の「学びへの納得」
・「上のクラスに入りたかった」「下のクラスは恥ずかしい」という子に、親はどう声掛けすべき?
・習熟度別学習に「学び合い学習」のエッセンスを取り入れる学校も
・算数が得意な子に家で解かせたい問題とはどんなもの?