休日のお出かけ先として人気の博物館。歴史、科学、恐竜、鉄道、宇宙など多様なテーマの博物館があり、規模も、1日かかっても全部見ることができない大規模なところから、こぢんまりした資料館までさまざまです。親子での博物館見学を実りある体験にするためには、どのような準備や心構えをしたらよいのでしょうか。日本の歴史や考古学、民俗を研究・展示する国立歴史民俗博物館広報連携センター長の山田慎也さんと同センターの上野祥史さんに知っておきたいポイントを聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 子どものコロナ太りどう解消? 3つのポイント
(2) 放課後に育む人間力 ダラダラ時間削ってはダメな訳
(3) 行き過ぎたいたずら 背景に親子の距離感の問題も
(4) 博物館見学「サーッと見て終わり」予防する親の戦略 ←今回はココ

子どもが楽しむことを大切に。興味がある子はサイトで予習を

 コロナ下で体験型や接触型の楽しみがまだ難しい中、博物館見学に行こうと考える家庭は多いでしょう。親としては子どもが目を輝かせて見学する姿を期待したくなりますが、実際は入り口から出口までサーッと通り過ぎるように眺めて終わってしまったということも少なくないようです。せっかくの機会を生かすにはどのような準備をしたらよいのでしょうか。

 千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館・広報連携センター長の山田慎也さんは、「博物館へ行くとなると親は勉強させたいと思うかもしれませんが、一番の目的は子どもが楽しむことです。そのためには子どもが興味のあるジャンルの博物館へ行くとよいでしょう」と話します。

 「事前に博物館のウェブサイトなどを見せて『今度ここの博物館に行こうと思っているんだけど』と、子どもと相談します。子どもが興味を持つようであれば見学を計画しましょう」(山田さん)

 行くと決まったら事前準備も大切です。例えば国立歴史民俗博物館には6つの展示室があり、全てを見ると4kmほどを歩くことになります。都内にある東京国立博物館や国立科学博物館、江戸東京博物館なども広大です。「そのような博物館は、事前情報を持たずにふらっと行くには広過ぎます」。子どもが興味のある展示が見つかるまでに飽きてしまうかもしれません。「『どんなものが見られるのかな』と調べて、当日の目的をいくつか決めておくとよいでしょう」(山田さん)。

 中には「博物館へ行ってみよう」と言われて「キャンプや遊園地に行きたいのに、博物館? 勉強させられるんだ……」というネガティブな反応を示す子もいます。それでも親が「行ってみたら面白いと思うかもしれないから一度は連れて行きたい」と思う場合は、どうしたらよいのでしょうか。

 そこで次ページからは子どもが博物館にあまり興味がないときの戦略として、テーマ設定やサーッと見て終わりにしないための「面白いもの探し」の方法、さらに、博物館見学を子どもの探究につなげる方法を聞いていきます。

次ページから読める内容

・見学するにあたっての、「その日のテーマ」の決め方
・「面白いもの探し」で子どもの主体性を引き出す
・見学を子どもの探究につなげるには
・見学の際にあらかじめ取り払っておきたい、親にありがちな思い込みとは