わが子には、他者に対するやさしさを持った子に育ってほしいもの。でも時に友達やきょうだいにおもちゃを譲れず、ケンカになってしまうことも。特に相手が小さい子の場合など、もう少しやさしく接してほしいと思うような場面などで、「もう小学生なのに」とヤキモキすることもあるかもしれません。わが子のやさしさを育むために親としてどのようなことができるのでしょう。また、やさしさを育むことは、子どもが生きていく上でどのような意味を持つのでしょうか。児童心理に詳しい、東北大学大学院教育学研究科教授の長谷川真里さんに話を聞きました。

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「やさしさ」「寛容性」は親子の関わりで育める

 「わが子には他人を思いやったり、人の気持ちに共感できたりする、寛容な子に育ってほしいですよね。子どもの行動が親の期待と違った場合に『もう小学生なんだから』と思ってしまう親の気持ちは分かります。でも、小学校低学年は心理学的にはまだ親が思うような対応が取れない年齢です」と話すのは、児童心理に詳しい東北大学大学院教授の長谷川真里さんです。

 長谷川さんによると、発達心理学では育ちの節目は9歳ごろといわれていて、小学校の中学年ごろになると、だいぶ変わってくる子が多いのだそう。

 「まず知っておきたいのは、低学年ごろまでの子どもは、発達の段階としてまだ理解ができないことがたくさんあり、その結果、大人が期待する寛容性を発揮できないケースが少なくないということです。このことが分かっていれば、『もう小学生なのに』と落胆したり、不安を感じたりせずに済むはずです」

 この時期に、親が心掛けたいのは、子どもとの丁寧な関わりだそう。「寛容性は大人になってからの個人差が大きいもの。小さい時期の親の関わり方は、子どもの発達にも関係していきます」と長谷川さん。しかも、「寛容性を身に付けることは、学力や将来の社会的成功のベースにもなる」と聞くと、親としては無関心ではいられません。詳しく聞いていきましょう。

【この記事から分かること】
・大人が期待する寛容性を子どもが発揮できない理由とは?
・子どもの寛容性を育む親の声掛け
・○○○を表現する言葉や言い回しを獲得することで、子どもの寛容性が育まれる
・やさしさが学力や将来の社会的成功のベースとなる理由とは?