毎日の何気ない親子の会話ですが、人間関係の説明などちょっと入り組んだ話になったときに、子どもが何を話しているのかが分からなくなってしまう、ということはないでしょうか。「子どもが入り組んだ説明ができないのは、語彙力不足が原因」だと、一般社団法人アルバ・エデュ代表理事の竹内明日香さんは話します。語彙力を養うために、低学年の家庭ではどのようなことができるのでしょう。すぐに取り組めて効果の高い5つの方法を、竹内さんに教えてもらいました。

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身の回りの世界をどれだけ認知しているかがカギに

 「低学年だと複雑な状況説明や描写ができなくて、親からしたら何を話しているのかよく分からないということはありますよね。複雑な物事を分かりやすく説明するというのは、人とつながる上で必須となる大事な能力であり、小さいうちから家庭で意識して育んでいってほしい力です」と言うのは、話す力を高めるため、アクティブラーニングとICTを駆使した授業の実践を提案し、カリキュラム開発、教員研修、モデル授業を展開する一般社団法人アルバ・エデュ代表理事の竹内明日香さん。竹内さんは、現在大学1年生、高校1年生、小学3年生の母親でもあります。

 竹内さんによると、子どもがうまく物事を説明できない原因は、語彙力不足だそう。

 「日本語で雪を表す単語として一般的に知られているのは『粉雪』『ぼたん雪』などわずかの単語です。一方、氷雪地帯に暮らすイヌイットの人々の言葉では、雪を表す単語が日本語よりもずっと多く、何十通りもあるといわれています。つまり、雪があまり降らない地域で暮らしていると、雪について細かく認知し言い分ける必要がない一方で、雪が生活に密着している場合は、細かく言い分けて描写しているということです。

 同様に、子どもが身の回りで起きたことを細かく描写したり説明したりするためには、自分の身の回りの世界をどれだけ認知しているかがカギになります。そして、認知した事柄とその事柄を指す単語とを結びつけ、自分の中にストックし使いこなす力が語彙力です」

 「発達心理学・認知心理学で有名な内田信子さんの研究などによって、子どもは歩き始めるころからしばらく爆発的に語彙を獲得するようになり、年長児でも1日あたり約20語もの新しい語彙を獲得することが明らかになっている」とのことですが、小学校低学年はまだまだ語彙力を磨く黄金期といえると竹内さん。

 さらに、どれだけの数の単語やフレーズ、言い回しなどが、子どもの頭の中に「使える状態」で存在しているかが思考力にも直結すると話す竹内さんに、低学年家庭で取り組みやすい語彙力の身に付け方について詳しく聞いていきます。

この記事で分かること
・語彙力を伸ばすカギは○○的・○○的に言葉を使うこと
・「今日はどうだった?」と聞いても「別に」と答える子が喜々として話し始める工夫とは?
・ちょっと抜けている親のほうが子の語彙力が伸びる
・低学年のうちに語彙力を伸ばすことは、後伸びにつながる