読書好きな子になってほしい――そう思う親は少なくありません。考える力をつけるためには「物語文」だけでなく、「説明文」にも低学年から少しずつ触れさせるといいと作文教室「言葉の森」代表の中根克明さんは言います。説明文の面白さを子どもに伝えるために親が知っておきたいこと、家庭でできること、お薦めの本などについて聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 低学年 説明文の本こそ読み聞かせ 論理的に考える力を ←今回はココ
(2) 算数の図形 低学年のうちに「苦手意識」を持たせない
(3) 低学年娘の目に余るパパへの態度 ママはどうすれば?

低学年から「説明文」に親しむメリット

 「読むことが好きになるために最も大切なのは低学年の時期です」。そう話す中根克明さんは作文教室を開講し、約40年間、多くの子どもたちに読解力や作文などについて教えてきました。低学年の時期にたくさん読書をすることが、「後伸び」できる頭の土台をつくると中根さんは言います。

 ではどんな本でもいいのでしょうか。「読書好きにするためには、子ども自身が面白いと感じる本をたくさん読むことは大前提です」と中根さん。ただ、物語(物語文)だけでなく、低学年から少しずつ、説明的な文章(説明文)の面白さに気付かせてあげることを中根さんは提案しています。

 説明文とは、自然科学、社会科学、人文科学、人生論などの本のこと。「一昔前は、児童向けの本といえば物語文中心で、説明文の本は少なかったのですが、最近は増えています。説明的な文章が載っている本、と理解してもらえばいいと思います」

 説明文の読書はなぜ大事なのでしょうか。「漢字の書き取りや足し算引き算などの低学年の勉強は、単純な知識のつながりを覚えるもので、勉強すれば成績は上がりますが、論理的に複雑に考える作業をしているわけではないため、『低学年で成績が良い=考える力がついた』とは必ずしもいえません。

 説明文は、『これがこうなるのは○○という理由からです』『○○なので、○○になった』『その方法は○○です』など文章が論理的に進みます。低学年のうちから、理由、原因、方法、対策などが書かれた説明文を読み、論理のつながりを理解しようと文章を追っていると、論理的に考えられるようになります

 説明文の面白さを低学年から知ることはさまざまなメリットがあると指摘する中根さんに、親が知っておきたいこと、家庭でできる3つのポイント、お薦めの本などについて、次ページから聞きます。読書好きにするためにこの時期に気を付けたいことも紹介します。

説明文の面白さを子どもに伝えよう! 家庭でできる3つのポイント  (1)説明文の本こそ親が読み聞かせする (2)読んだ内容を現実の世界につなげる (3)子どもの関心が強いジャンルの本を選ぶ