秋が深まり、冬の足音が聞こえてきました。少し前はまだ明るかった時間帯でも、あっという間に暗くなり、小学校低学年の子どもを持つ共働きママ・パパにとっては、わが子が今日も安全に家に帰ってきているか、何となく心配な季節でもあります。今回は、市民の安全を守るプロ、警視庁生活安全総務管理・渡辺警視に、「小学校低学年の子どもを持つ共働きママ・パパがわが子の安全を守るためにすべきこと」と題して詳しく伺いました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 読み書きや計算が不得意…学習障害(LD)とは?
(2) 「うちの子、学習障害?」と思ったら親がすべきこと
(3) 日暮れが早まる季節 小学生帰り道の防犯対策
(4) 不審者に遭った!「とっさの行動」をわが子に教える ←今回はココ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

ケータイを持たせたほうが絶対安心、ということではない

 「子どもにはケータイを持たせたほうが、子どもの安全を守れるのだろうか」という疑問は、特に小学校低学年のお子さんをお持ちのママ&パパは気になるところでしょう。全国的にまだ公立小中学校ではスマホやケータイの持ち込みが禁止されるケースが多い中、大阪府内の公立小中学校で、2019年春から、児童や生徒が校内にスマホやケータイを持ち込めるようになるというニュースも記憶に新しいところです(この目的は台風や地震などの災害時対応が主です)。

 渡辺さんは言います。「子どもにケータイやスマホを持たせることが子どもの防犯に効果的かというと、一概にそうだとは断言できません。持たせることによって悪い者との接点がものすごく近くなる可能性もあります」。例え話として、「道路」と「犯罪」を例に説明してくださいました。「犯人は大通りに出てしまえば、右方向にも左方向にも逃げられます。ですから、大通りから一本入った小さな通りで短時間で犯罪を実行し、大通りに逃げる可能性があります。逃げやすい場所というのが一番危ないのです」。まさにスマホやケータイもそうだと渡辺さん。

 「悪い人にとっては、姿を明かすことなくターゲットに近づき、『写真を送れ』『個人情報を送れ』と要求し、必要がなくなれば一方的に音信を絶つこともできる“便利”なツールです。確かに有用であるがゆえにここまで普及はしていますが、お子さんに持たせるかどうかというのは、ご家庭の方針によるでしょう。正しい使い方やルールをどれだけ徹底させられるかというのが肝心です」

 スマホやケータイなど、正しく使えば防犯に活用できるツールでも、いざというときに使えないということはよくあります。「防犯ブザーも、とっさのときに押せないことがあると思います。使いたいときに電池が切れているという可能性もあります。週に一度、『防犯ブザーの電池を確認してみようか。ほら、鳴らしてごらん』『ピー!』『鳴ったね。今週も大丈夫だね。これ(防犯ブザー)を持って歩いて、怖かったら鳴らすんだよ』と伝える機会を設けてください」

 子どもにスマホやケータイを持たせる場合は、「いつでも110番できるように持っていなさい」と伝えることが効果的だそうです。「スマホの画面に集中し過ぎて、後ろから近づいてきた車に気づかずさらわれてしまう恐れもあります。そうした話をしてあげてください」

<次のページからの内容>
● 「知らない人についていったらいけない」だけではなぜ足りない?
● 「いかのおすし」の「し=知らせる」の本当の意味
● マンションのエレベーターや家の玄関に入るときは、背後を確認
● 親の留守中は「居留守」でいい