秋が深まり、冬の足音が聞こえてきました。少し前はまだ明るかった時間帯でも、あっという間に暗くなり、小学校低学年の子どもを持つ共働きママ・パパにとっては、わが子が今日も安全に家に帰ってきているか、何となく心配な季節でもあります。今回は、市民の安全を守るプロ、警視庁生活安全総務課管理官・渡辺警視に、「小学校低学年の子どもを持つ共働きママ・パパがわが子の安全を守るためにすべきこと」について詳しく伺いました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 読み書きや計算が不得意…学習障害(LD)とは?
(2) 「うちの子、学習障害?」と思ったら親がすべきこと
(3) 日暮れが早まる季節 小学生帰り道の防犯対策 ←今回はココ
(4) 不審者に遭った!「とっさの行動」をわが子に教える

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「あなたを守りたい」と根気強く子どもに伝える

 刑法犯認知件数全体は、警察による取り締まり、地域によるボランティアの方の見守りなどもあり、15年間、減少を続けています。2002年の年間285万件をピークに、2017年は92万件まで減っているのです(下の上図)。ところが、子どもに対する犯罪はというと、増減を繰り返し、きれいな右肩下がりにはなっていないことが分かります(下の下図)。

出典:「2017年の刑法犯に関する統計資料」(警察庁)
出典:「2017年の刑法犯に関する統計資料」(警察庁)
出典:「警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会提言書」(警視庁)
出典:「警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会提言書」(警視庁)

 2017年5月の「新潟小2女児殺人事件」はまだ記憶に新しいところです。当時7歳、小学2年生だった被害者は下校時に誘拐され、殺害されました。その後、遺体が電車の線路上に遺棄されたという痛ましい事件です。事件後、政府は「登下校防犯プラン」を出し、警察庁や文部科学省などはこれに基づいて合同での多角的な対策を検討し、緊急合同点検などを実施してきました。

 これらを背景に、わが子を犯罪から守るために親は何をすべきか、警視の渡辺さんに伺いました。

 「お父さん、お母さんが、真剣に『あなたを守りたい』というメッセージを、根気強くお子さんに伝え続けることが一番大事であり、一番効果的です」

 忙しいとつい、毎日の生活を円滑に送ることを重視ししがちで、朝も夜も、様々な用事でバタつくことも多く、わが子の登下校や習い事の行き帰りにおける安全の確保について、じっくりと子どもと会話をする時間を持つことができないというのが正直なところではないでしょうか。しかし、万が一、子どもが危険に巻き込まれそうになったときに、子どもが反射的に正しい行動を取るように教えるためには、「毎日、何度も何度も繰り返し伝えることが大事」だと渡辺さんは言います。

 「性格や発達段階、理解度などはお子さんによって違いますから、どのタイミングで何を教えたらいいか、保護者の皆さんは迷うこともあると思います。とにかく一番大事なのは、『お父さん、お母さんはあなたのことをとても心配している』という“本気度”をまず伝えること。そして、『言われたことは、絶対守らないといけないんだ』と思わせることです」

 「最初は『ふーん』と話半分で聞いている子でも、親が真剣に言い続けることで、いつかスッと頭に入ってくる瞬間があるはずです。そこは親がどれだけ繰り返し根気強く伝えられるかということです」

 では、それ以外にできることがあるとすれば、どんなことでしょうか? 次ページからは、渡辺さんが指南する便利ツールについて紹介していきます。

<次のページからの内容>
● 警察が発信する犯罪情報をいち早くキャッチする方法
● 最も危ない時間帯は?
● わが子を守るために最低限すべきこと