「学習障害とは、知的発達に遅れがあるわけではなく、読み書き、計算など、特定の分野にだけ著しい困難がある障害を言います」と解説するのは、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」編集長・鈴木悠平さん。

 「学習障害とは何か」「『わが子が学習障害かもしれない』と思ったらどうすればいいか」「検査の結果が判明したら、どうやって子どもをサポートする?」というテーマで、鈴木さんに詳しく教えていただきました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 読み書きや計算が不得意……学習障害(LD)とは?
(2) 「うちの子、学習障害?」と思ったら親がすべきこと ←今回はココ
(3) 日暮れが早まる季節 帰り道の防犯対策
(4) 不審者に遭った!「とっさの行動」をわが子に教える

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「うちの子、LDかもしれない」と思ったら、まずどこに行けばいい?

 「わが子が学習障害かもしれない」と思われた場合は、専門機関につながることが大事です。例えば、各都道府県にある「発達障害者支援センター」、または、「保健センター」「子育て支援センター」などにアクセスしてみてください。専門機関で相談支援を受けると、支援やサービスについての情報を教えてもらえます。必要であれば、検査や医療機関につないでもらえる場合もあります。もう一つの方法としては、普段からお世話になっている掛かり付け医に「学校でこういうことがあり、うちの子が学習障害かもしれないと思っています。学習障害を診られる先生をご存じないですか?」と相談し、紹介してもらうことも可能です。

 病院における診断では、問診・聞き取り・行動観察などを通じ、学校での様子を把握するとともに、その子の発達の凸凹を見る「WISC(通称:ウィスク)」と呼ばれる知能検査を受けることになる場合が多いでしょう。その結果、「確かに数字的処理の能力だけ低いですね」「言語面で困難がありますね」といったことが詳しく見られます。人間の知能には様々な要素があります。検査の結果、それぞれの能力別にスコアが出されます。まず医師に相談に行き、別日に検査の予約を取って心理士に検査してもらい、少し待ってから検査結果を聞きに行く、という流れになることが多いでしょう。

 診断がはっきりすると、適切な対処を検討しやすくなります。その後は、診断を下した医師も相談窓口の1つになり得ます。「学校に私のほうから意見書を書きましょうか」と提案してもらえる場合もあります。

 診断後の対処法は、大きく分けて2つあります。

 1つ目は、学校の外で、その子に合った個別の支援を受けるという方法です。「児童福祉法」に基づく、「放課後等デイサービス」という小学生以上の障害のある子どものサポートをする福祉サービスがあるので、それを活用するのもその1つです。そういった福祉サービスの場で、学習障害のある子でも、比較的理解しやすいように工夫されている教材を使ったり、言葉で補足してもらったりすることにより、学校で苦労していた部分に取り組みやすくなったりします。

 もう1つが、外部の支援機関や医師と連携し、学校内で子どもの凸凹を踏まえた配慮を受けられるようにする方法です。

デイジー教科書は「文字・音声・画像を同時に再生する」「音声で読み上げる部分の文字がハイライトされる」「読むスピードを変えることができる」「文字の大きさ・文字色・背景色も細かく変えることができる」「章・節へのジャンプも簡単」などの機能を備えている<br>(画像提供:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会)
デイジー教科書は「文字・音声・画像を同時に再生する」「音声で読み上げる部分の文字がハイライトされる」「読むスピードを変えることができる」「文字の大きさ・文字色・背景色も細かく変えることができる」「章・節へのジャンプも簡単」などの機能を備えている
(画像提供:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会)
<次のページからの内容>
● 点数を伸ばすことも大事だが、最も重要なのは自己肯定感を得られること
● LDの子に、中学受験は無理?
● 家庭学習面で親がサポートすべきこと
● 学校では支援学級に行くことになるか