コロナで行動が制限されてきた中で、子どもたちの肥満傾向が上昇していることが、文部科学省の統計調査により明らかになりました。コロナの感染予防に取り組みつつ、どのように子どもたちの健康を守っていけばよいのでしょう。家庭でできる肥満予防の取り組みについて、管理栄養士の太田百合子さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 子どものコロナ太りどう解消? 3つのポイント ←今回はココ
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(3) 行き過ぎたいたずら 背景に親子の距離感の問題も
(4) 博物館見学「サーッと見て終わり」予防する親の戦略

小学生の全学年で肥満傾向児の割合が上昇

 2020年から続くコロナ下で、大人でもコロナ太りに悩んでいる人もいますよね。でもコロナ太りに直面しているのは子どもたちも同じです。

 2021年7月に文部科学省が発表した学校保健統計調査では、2020年度は、全国の幼稚園、小・中・高に通う児童・生徒のうち高1を除く全ての学年で、肥満傾向児*の割合が上昇。一方で、痩身傾向児*の生徒も幼稚園、小・中・高の全ての学年で上昇しています。

*[実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)]/身長別標準体重(kg)×100(%)の計算の結果、20%以上を肥満傾向、-20%以下を痩せすぎとしている

 こうした状況について、「コロナによる巣ごもりや行動制限、それに伴うストレスが関係しています」と話すのは、子どもの栄養に詳しい、管理栄養士の太田百合子さんです。

 「肥満も痩せも、共に原因の一つに挙げられるのはストレスです。子どもによっては、ストレスから過食に走るタイプと、しっかり食べられなくなるタイプの子がいます。その他、痩せに関してはコロナによって広がってしまった経済格差により、貧困家庭の子どもが、日に3度の食事を十分に食べられないといった状況も原因となっています」

 経済格差による痩せについては、社会全体で早急に解決していくべき課題である一方、「ストレスが原因の肥満や痩せに関しては、各家庭での取り組みが必要です」と太田さん。

 「特に肥満に関しては、昨今、生活習慣病が低年齢化していて、将来の健康にも影響を及ぼすことが問題になっています。生活習慣病は反抗期が始まる思春期以降の改善は困難になります。肥満症状が気になる場合は低学年のうちから改善していけるよう、家庭でも取り組んでいってもらいたいと思います」

 次のページから、太りやすい子どもの特徴と共に、子どもの肥満予防のために、食生活の面からどのような取り組みができるのか、太田さんに詳しく聞いていきます。