学校や学童でもマスクを着けている子どもたち。お互いの表情が見えにくいマスクがあることで、コミュニケーション力を育む大事な時期に負の影響がないか心配という親は少なくないでしょう。表現力を育む「トリッピー表現力教室」代表で俳優の大門真紀さんに、マスク時代を生きる子どもたちに懸念されること、表情などの表現力を伸ばすために家庭で具体的に取り組めることなどを聞きました。

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「諦める」子が出ないか心配

 「マスクは自分の前と、相手の前にある、いわば壁です。二人ともマスクを着けていれば、間に2枚の壁があるようなものです」。大門真紀さんはそう話します。

 ずっとマスクを着けていることで子どもに影響はあるのでしょうか。マスクでお互いの表情が見えにくいため、子どもの表現力が低下する懸念があると、大門さんは指摘します。「例えば、口をへの字にしている相手を前にすると、『今これを言うのはやめようかな』『ちょっと言い方を変えてみようかな』などと相手の感情を推測しながら考えて行動に移しますが、口など顔の大部分が見えないとそれが難しいです。

 人は、相手の顔の表情や言葉の内容、声のトーンなど多様な要素から感情を読み取り合います。表情が見えにくいと、相手の発した文言だけで判断するようになる恐れがありますが、人間の発言と気持ちは必ずしも同じとは限りません。あるいは、相手の感情を想像すること自体をそもそも諦めてしまうかもしれません。

 反対に、自分の表情を読み取ってもらえないと、感情を表情で伝えようという気持ちも萎えるのでは、と懸念しています。マスクのせいで声も届きにくくなっています。この状態が子どもたちにとって当たり前になり、今後も続くことでどんな影響が出るか心配しています」

 本来であれば、学校の友達や先生とのやり取りを積み重ねて、コミュニケーション力を高めたい時期のはずです。そもそも表現力はなぜ必要なのでしょうか。「人間は一人では生きられないからです。コミュニケーションを取るためには表現力が必要です。自分が困ったときに誰かにちゃんと伝えられる表現力があれば子どもは自立できると思います

 「表情をつくる顔の表情筋は筋肉なので、使えば使うほど鍛えられて表情は豊かになります」。そう指摘する大門さんに、感情を豊かに表現する「表情力」や表現力をアップするための親子遊び、親が気を付けたいポイントなどを次ページから聞きました。

親の「表現力レベル」が子に影響? 表情筋を使う遊びを取り入れよう 大事なのはやはり「感情」