遊びや動画には夢中になるのに、勉強には全く興味を示さない。「将来はYouTuberになるから勉強なんて必要ない」と言って、宿題すらやろうとしない。そんな状態のわが子を見て、頭を抱えている人もいるかもしれません。小学校低学年の段階で「自分は勉強に向いていない」と思い込んでいる子に対して、親はどのように関わっていけばよいのでしょうか。主宰した塾で不登校や勉強の苦手な子どもおよそ100人を指導した経験を持ち、2児の父親でもある農業研究者、篠原信さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 叱られたとき 子は脳機能が低下し学ぶ力を失う
(2) 勉強に興味示さない低学年に不足しているものは ←今回はココ
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「自分は勉強に向いていない」と思ってしまう理由

 まだ低学年なのに、「自分は勉強に向いていない」と思い込み、すでにやる気を失ってしまっている――。わが子がこんな状態に陥っている場合、親はどのように対処すればいいのでしょうか。

 塾で不登校や学習障害の子どもを指導した経験を持ち、現在もボランティアで学習指導を行っている篠原信さんは、小学校低学年の子どもが「自分は勉強に向いていない」と思い込んでしまう理由について、「家庭での親の関わりが少なからず影響している可能性がある」と指摘します。

 「『先生との相性が悪い』など学校教育が原因のことももちろんありますが、『親が“お勉強”のスタイルを求めている』『家庭での基礎的な体験が不足している』ことも多いように思います。

 保育園や幼稚園では興味の赴くままにやりたいことを楽しめていたのに、小学校に入学した途端、机に向かう『お勉強』のスタイルを親から強制されて戸惑う子は少なくありません。子どもは好きなことをして遊んでいても、寝転がって絵本や図鑑を眺めていても、さまざまなことを学んでいるもの。それなのに親が『机に向かわなければ勉強したことにならない』といった融通のきかない態度でいると、子どもが『自分は勉強に向いていない』と思い込む原因になります。

 また、子どもは絵本を大人と一緒に読んでいるうちに文字を覚えたり、トランプをやりながら数に興味を持ったりと、自然や生き物と触れ合ったりして遊びの中での実体験を通じて学んでいくものです。低学年においてもまだ、親との遊びの時間はとても重要なのですが、親が遊びに十分に付き合ってあげられないと、子どもは体験の裏付けが不足したまま、学校でいきなり文字や数を学ぶことになり、興味を持てないことがあります」

 このような状況に当てはまる場合、親は家庭での子どもとの関わり方をどのように変えていけばよいのでしょうか。篠原さんに詳しく聞いていきます。

「お勉強スタイル」の無理強いも原因の一つ
「お勉強スタイル」の無理強いも原因の一つ
この記事でわかる内容
・親の驚きのリアクションが子どものやる気を促す
・「宿題しなくても仕方ない」と親が腹をくくることも必要
・「YouTuberになるから勉強はいらないよね?」にどう答える?
・「子どもを観察」する際、注意深く見るべきポイントは?