「子どもが友達との人間関係で悩んでいるようだ」「授業に遅れ気味なのが心配。勉強をもっと見てあげたい」。子どもが小学生にもなると、新たな悩みや問題が生じるもの。「保育園時代よりももっと手間暇をかけて子どもに寄り添いたい」と思うパパやママは少なくないのではないでしょうか。

 とはいえ、親も働き盛り真っ最中。今さら仕事をセーブするのが難しい場合もあるはずです。そこで、子どもと過ごす時間を捻出するために、ぜひ取り組みたいのが、家事の大幅な見直し。共働き世帯なら、すでに効率的に家事を回す方法を身に着けている人も多いはずですが、「より一層の家事の時短を目指すなら、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を実施するのがおすすめ」と、3歳の女の子のママで、ボストン・コンサルティング・グループや米GEインターナショナル、日本IBMなどを経て2012年に独立した戦略コンサルタントの秋山ゆかりさんはアドバイスします。

 「ビジネススキルは、そのまま共働き子育てに役立つ」と話す秋山さんに、自身も実践し、料理時間を75%も減らしたというテクニックや、仕事と子育てのバランスに悩んだ時にオススメの「ホールディングス理論」を伝授してもらいました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 体育の苦手意識を払拭! 楽しみながら足が速くなる
(2) 専門塾に学ぶ、体育が苦手な子に教えるノウハウ
(3) 家事のBPRで子どもと過ごす時間はもっと増やせる ←今回はココ
(4) 正しい目的&KPI設定で「比べない子育て」可能に

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

仕事で慣れ親しんだ手法でピンチ脱却

日経DUAL編集部(以下、――) BPRとは、業務のやり方や業務フローなどを全面的に見直し、再設計すること。ビジネスプロセス・リエンジニアリングの略ですね。

秋山ゆかりさん(以下、秋山) はい。業務のムダを洗い出し、改善することで効率化を図る手法です。私自身、コンサルタントとして、これまで関わってきた事業再生案件などで、頻繁にBPRに取り組んできました。

 実は、出産後、重要な仕事と子どもの入院など、色々重なり、仕事と子育てでいっぱいいっぱいになってしまった時期がありまして…。その時に、仕事で慣れ親しんできたBPRの手法を家事に適用し、家事のやり方を全面的に見直すことで時短に成功、子どもと過ごす時間を大幅に増やすことができました。ぜひ、この手法をDUAL世代に広めたいと考えています。

―― どのくらいの時短に成功したのですか?

秋山 最も大きく削減できたのは料理の時間で、75%も減らすことができました。実は復職後、私は週末に2時間かけて1週間分を作り置きし、さらに毎食ごとに何か1~2品を付け足したりして、食卓を整えるのに1日30分以上は時間を費やしていました。1週間単位でみると、330分も料理にかけてしまっていた計算です。それが、BPRを実施後の今は、1週間の料理時間は80分まで減っています。

写真はイメージ
写真はイメージ

―― 330分が80分に?? 激減といっていいですね。やり方を順を追ってご説明いただけますか。

ストップウォッチで実際の時間を細かく記録する

秋山 まず、自分がBPRしたい家事のプロセスをフローで書き出します。料理だと、全体のプロセスは大まかにはこんな感じですね。

 さらに、一つ一つの項目についてブレークダウンし、具体的な作業を洗い出してフローにまとめます。例えば、「料理を作る」項目はこんな感じです。

<次のページからの内容>
・家事のBPR、4つのステップ!
・4パターンの「献立セット」で考える時間もゼロに
・家族は一つの「ホールディングス」、成長戦略は「ホールディングス」全体で描く
・3歳の子どもが掃除・洗濯・料理を習得