少ない労力で大きなアウトプットを出す、いわゆる「地頭のいい子」には、観察力があるといわれます。どうすれば、わが子を地頭のいい子に近づけられるのでしょうか? 教育デザインラボの代表理事、石田勝紀さんに聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 地頭のいい子は観察力が違う 視点を変える親の声掛け ←今回はココ
(2) 子の一人歩きは日本独特 防犯のために親ができること
(3) 「抽象化」は生き抜くスキル 低学年の親ができること
(4) 違和感の伝授は親からのギフト 子ができる5つの防犯

地頭の良さは、日々の習慣で身に付く

 「地頭のいい子」というと、どんな子を思い浮かべますか? 勉強ができるというよりは、物事を論理的に考え、少ない労力で大きなアウトプットを生み出すイメージがないでしょうか?

 「先天的に地頭のいい子というのはいます。そうした子は共通して、未就学児のうちから『勉強は何のためにやるの?』『人は何のために生きているの?』などと、哲学的な質問をしてきます。つまり、視座が高いんですね。普通の人が、山の1合目で目に入る木々や草を見ているとき、地頭のいい子は、山の頂上から全体を俯瞰(ふかん)しています。だから、中学受験の勉強で過去問を解く際にも、全体を眺めてパターンを見抜き、すぐにコツをつかむのです」

 こう話すのは、これまで4000人以上の子どもを指導し、成績向上に導いてきた教育デザインラボの代表理事 石田勝紀さんです。親としては、どうにかわが子を地頭のいい子にしたいと思うかもしれません。後天的に身に付ける術はないのでしょうか?

 「目の前にあるものをじっくり観察し、それを分析して自分なりのパターンを見つけることです。これは、あらゆるものに転用できる『思考の型』で、その入り口にあるのが観察力です。親にできるのは、子どもが観察したくなるきっかけをつくり、そこから思考を深める『問い』を立てるサポートをすることです」

 辞書によると「観察」とは、物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること、とあります。しかし低学年の子どもの場合、その対象が「友達」などの狭い興味に限定されていることも少なくありません。まずは対象に「興味を持たせる」声掛けをしていく必要があるのです。次のページから石田さんに、低学年の子どもの「観察を促す声掛けのポイント」「思考を深める声掛け」について詳しく聞きました。