食欲の秋。食事は日々の楽しみである半面、子育て中の親にとっては悩みの種である場合も。子どもの食が細かったり、食べ過ぎたりすると、「このままでは栄養が偏ってしまうのでは」「肥満になってしまうのでは」など心配になるでしょう。成長期にあるわが子に、適正な量の食事をとらせるにはどうしたらいいでしょうか。東洋大学食環境科学部食環境科学科准教授で、小学生を対象とした親子の食育プログラムなども行っている露久保美夏さんに、子どもが「食べ過ぎてしまう」という悩みへのアドバイスを聞きました。

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 子どもがおいしそうに食事をする姿は喜ばしいものですが、「食べ過ぎでは…」と思うほどの過剰な量だと、不健康になったり、肥満になったりするのではと心配になるもの。東洋大学食環境科学科准教授の露久保美夏さんは「まずは、成長曲線からズレがないかを確認しましょう」とアドバイスします。

 「母子手帳などにある『幼児身体発育曲線』のグラフは、6歳くらいまでしか記入欄がないかもしれませんが、日本小児内分泌学会のサイトから低学年にも使える標準身長体重曲線のグラフや、成長曲線描画ファイルなどがダウンロードできます。わが子の状態を確かめてみましょう。また、小学生は『ローレル指数』といって、『体重(kg)÷身長(m)の3乗×10』を計算することで、肥満かどうかの目安が分かります。115未満がやせている、115~145未満が普通、145~160未満が太っている、160以上が太りすぎと診断されるので、参考にしてみてください」(小児内分泌学会のダウンロードサイトは記事末で紹介)

 「小学生のうちは、成長期ゆえの食べ盛りの時期ともいえます。特に活発に体を動かす子や運動系の習い事をしていれば、消費カロリーが多いため、おなかがすきやすいのは当然です。食べ過ぎが気になるとしても、成長曲線から大きくずれていたり、ローレル指数で『太っている』以上に該当したりすることがなければ、たくさん食べるのは成長段階の一つとして考えることもでき、それほど心配はいりません」

 しかし、成長曲線やローレル指数に関して問題がある場合は、低学年のうちに、何らかの手を打つ必要があります。「食べ過ぎで肥満気味の子がそのまま成長すると肥満体質となり、高学年以降になったときに、子ども自身が悩み、体形を気にして無理なダイエットに走ってしまう可能性があるからです。特に女の子は無理なダイエットにより月経が止まってしまうこともあります」

 ただ、食事量をむやみに減らしてしまうと、子どものストレスになり、体重が落ちたとしても、筋力まで落ちて不健康になってしまうので気を付けたいと露久保さんは注意を促します。次ページから、子どもの食べ過ぎを改善する際にやってはいけないことや、食べ過ぎる原因別の対処法をお伝えします。