2020年の教育改革を前に、子どもの読解力の低下が心配されています。受験を終えて難関中学に入った子どもたちにも「物語文は得意でも説明文が苦手」「一問一答ができるのにテストの解答につまずく」というような読解力不足が見られるそうです。前回に引き続き、麻布中学校・高等学校の国語教諭である中島克治先生に、子どもの読解力を上げるために親ができることについて聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 虫歯予防のためには「8歳まで仕上げ磨き」を
(2) 子どもの歯列矯正 なぜ、いつ、どうやってする?
(3) 低下する子どもの読解力「読書よりも親子の時間を」
(4) 読解力向上には「読み聞かせ」が最高のドリル ←今回はココ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

子どもが本好きになっていく「読み聞かせ」

中島克治さん
中島克治さん

 前回、親子で共に過ごす日常が読解力の根幹となるというお話をしましたが、「読み聞かせ」は親とのコミュニケーションでもあり、本に親しむ時間でもある、最も効果の高い読解力のトレーニングです。読むものは絵本でも何でも構いませんので、親子で共に本に触れ合い、親しむ時間をぜひ持ってもらいたいと思います。

 小学校低学年のお子さんをお持ちの方に勧めたいのは、毎日決まった時間に本を読み聞かせること。忙しいと、ほんの10分、20分の時間を確保するのも難しいことかもしれませんが、そんなときは一冊全部読むのではなく、キリのいいところでやめてしまっても構いません。どんなに短い時間でもいいので読み聞かせを習慣化してもらいたいと思います。

 例えば、毎日4ページだけ読むことにしてもいいでしょう。忙しくて読む時間がない日は「今日はどうしても読めないから、そのぶん明日まとめて8ページ読もうね」とお子さんに伝えてあげてください。そうすることで、子どもは数の感覚もつかめるようになります。読み聞かせは月水金、火木土などと決めてもいいですね。曜日感覚も身に付きます。

 そうしているうちに、毎日少しずつしか読めないので、続きが待ちきれなくて勝手に読み始める子も結構います。これをきっかけに読書好きになり、1人でも集中して本を読める子になることもあります。

 ある程度子どもが大きくなり、自分で本を読むようになったら、親も隣で一緒に読書してください。子どもにとって読書する時間がとても心地いいものとなり、ますます本好きになっていくと思います。大好きな親と一緒にする読書体験は、それほど子どもに影響を与え得るものなのです。

 ただ、本当は親に読んでほしいのに「忙しそうだから」と遠慮してしまう子もいます。そんなときは「たまには読んであげようか」と声をかけてあげてください。

 読み聞かせをすると、子どもは耳から入ってくる情報を頭の中で処理していくので、自然と想像力を働かせられるようになります。読み終わった後は親子で感想を言い合うなど、コミュニケーションを図るとより効果的だと思います。

<次のページからの内容>
● マンガも読書の一環として認めてあげて
● 落語で子どものボキャブラリーが増える
● 子どもの興味が分からないときは「自分が子どものときに好きだったもの」を与える
● 教科書に載っていた物語で気に入ったものの原書を読む