日本の子どもの読解力が低下している――。こんな話をどこかで見聞きしたことはないでしょうか。経済協力開発機構(OECD)が2016年12月に公表した、世界72カ国の15歳を対象にした国際学力テスト(2015年実施)の結果では、日本の子どもの読解力は世界8位。前回(2012年実施)の4位から順位を落としています。

 世界の水準が上がったようにも見えますが、数学力、科学力を問うテストについては、日本はむしろ順位を上げています。なぜ、日本の子どもの読解力だけが低下したのでしょうか。また、読解力が下がることにより、今後子どもたちにどんな影響が出てくるのでしょうか。都内屈指の進学校として知られる麻布中学校・高等学校の国語教諭で、子どもの読解力に関する書籍を多数上梓している中島克治先生に伺いました。

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(4) 読解力向上には「読み聞かせ」が最高のドリル

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読解力=文章を読み解く力ではない

中島克治さん

 読解力をつけることがなぜ大事なのか。それを論じるためには、まず「何をもって読解力とするのか」を考える必要があります。

 読解力とは、国語という教科においては、問題文を正しく読み込む力だといわれています。しかし、これは読解力のほんの一部にすぎません。ただ文章の書き手の意図を読み解くだけでなく、物事に対する幅広い理解力全般、また人の気持ちや心を考えて、共感することのできる力まで含めたものが読解力であると、私自身は考えています。

 これまでの国語の問題は、文章を読んで主人公の心理や人物の関係性を追っていくというものでした。しかし、OECDの学力テストである国際学習到達度調査(PISA)や、2020年から小学校で全面実施される新学習指導要領で求められるのは、グラフや図、テキストなどの資料を総合的に読み解きながら、社会参加の方法を考えるような力です。駐車場の契約書や図を見て内容を読み解き、状況判断能力を問う、といった問題も出てきています。

 これからの時代を生きる子どもたちは、文章を読んで内容を理解するだけではなく、とっさの状況を分析し、適切に判断できる力も求められていくということです。自ら発信する力もあり、リーダーシップを取っていくような子、グループから外れている子の状況に気付いてとっさに行動できる子など、コミュニケーション能力の高い、そんな子どもです。また、そういう子は感受性も高く、ブレない強い意志を持つ反面、時にはブレることによって人の心を読み、気持ちに寄り添うことができます。

 そしてそれは読解力によって培われるものであり、また読解力のある子どもこそがこれからの時代を生き抜けるといえると思います。読解力とは、単に勉強ができて、受験を勝ち抜くことができる力ではないということをまずご理解いただきたいと思います。

 私は25年以上にわたる教員生活を通して、たくさんの子どもたちを見てきました。最近よく感じるのは、学力のバランスが悪い子が増えてきたということ。それが特に顕著なのは、受験を終えたばかりの中学1年生です。

<次のページからの内容>
● 難関校に入ったのに学力のバランスが悪い子どもが増えている
● 受験勉強の弊害で読解力に欠けるという矛盾した状況に
● 本を読ませる以前の親と子の関わりが大切
● 感情の起伏のある生活を送っていけば、読解力は自然と身に付いていく

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  • 難関校に入ったのに学力のバランスが悪い子どもが増えている
  • 本を読ませる以前の親と子の関わりが大切

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