歯は生きていくうえで欠かせない、誰にとっても大切なものです。しかし健康な歯は放置しておいては手に入りません。特に幼少期から小学校卒業までに正しい歯磨き習慣を身に付けることが何よりも大切なことなのです。

 前回は、医療法人「スマイルベア」の理事長を務める小児歯科専門医の坂部潤先生に、虫歯が発生するメカニズムから歯の正しい磨き方まで聞きました。今回は「歯列矯正の必要性の有無」や「治療の流れ」について伺いました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 虫歯予防のためには「8歳まで仕上げ磨き」を
(2) 子どもの歯列矯正 なぜ、いつ、どうやってする? ←今回はココ
(3) 低下する子どもの読解力「読書よりも親子の時間を」
(4) 読解力向上には「読み聞かせ」が最高のドリル

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

低年齢のうちに矯正すると、より自然な歯並びになる

 歯並びやかみ合わせの問題は、見た目の印象を左右するだけではなく、虫歯ができやすくなったり、顎の発達や発音、かむ力にも影響を与えたりします。最近では、歯並びの重要性が認識されるようになり、子どものうちから歯列矯正を行う子どもが増えています。

 中でも日本人は歯並びに問題のある人が多いといわれていますが、子どものうちから歯列矯正を始めるメリット、デメリットとは一体何でしょうか?

メリット

● 顎の大きさを広げるなど、骨格的なバランスを改善できるチャンスが増える
● 機能的な改善(正しいかみ方・正しい舌の位置・鼻呼吸の習慣づけ)は早い時期から行うほうが定着しやすい
● 骨格が軟らかいので歯を動かすのが比較的容易

デメリット

● 自己管理が大変(虫歯予防、矯正器具の管理、適切な使用法など)
● 大人の歯列矯正よりも時間がかかる傾向がある
● 将来的な歯並びを予測しながらの治療になるため、不確定な部分もある

 歯列不正(乱ぐい歯)には、主に2つの要素があります。

1. 歯が大き過ぎる

2. 顎が狭過ぎる

3. 1.と2.の両方

 2.が原因であることが多いので、早い時期から治療をスタートすれば、顎を広げる治療が有効になります。顎の成長は12歳くらいにおおかた決まるため、それ以降に治療を始めると、顎のサイズに合わせて抜歯をしなければなりません。低年齢のうちから矯正を行うことで、より自然な形で歯並びを整えることができるのです。

 では、実際に矯正の必要性の有無は、どのタイミングで判断したらいいのでしょうか?

<次のページからの内容>
● 3歳・6歳・8歳で歯並びチェックを
● 歯列矯正の目的は「審美性」と「機能性」を手に入れること
● 歯列矯正開始までの流れ。まずは歯並び相談から始めよう
● 治療は歯の土台づくりから
● 治療費はトータルで70万~100万円程度かかることも
● 読者体験談を紹介。親の苦労から気になる料金まで
● 子どもが嫌がったときの歯磨きの工夫