「宿題を見る」という毎日の親のタスクは、常に時間と戦う多忙な共働き親にとっては、悩みのタネ。意味や目的を深く考えずに何となくこなしているという親も少なくないでしょう。同じ低学年でも1年生と3年生では、子どもの特徴は異なります。前回に続いて、それぞれの学年別に親が知っておきたいポイントを、30年以上の小学校教諭経験があり、現在は「親塾」を各地で開催する、追手門学院小学校講師の多賀一郎さんに聞きました。
【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 親が「宿題を見る」は必要? 本質を知って有意義に
(2) 低学年の宿題 後伸びするために親が家でできること←今回はココ
(3) スポーツにも勉強にも「体幹」が大事な理由とは
1年生の子どもが集中できるのは10~15分
「子どものメインの仕事は『遊び』です。チャイムが鳴って教室に入っては来ますが、『さあ勉強しよう』と思って座っている子なんてほぼいません」と追手門学院小学校講師の多賀一郎さんは言います。
特に1年生が集中できる平均時間は15分ぐらいだと多賀さんは指摘します。「自宅だと集中力はさらに落ちるのでせいぜい10分ぐらいでしょうか。30分も1時間も同じ勉強をさせるのは勉強嫌いをつくるようなもの。嫌だなと思うことを続けさせることほど無駄なことはありません。宿題をさせるときは、時計を示して時間を区切るのが有効です。大人でも同じだと思いますが、いつ終わるのかという見通しがないと、効率的にできません」
一方で1年生は基本的な学習意欲を育むためにとても大事な時期だと言います。「1年生の大きな特徴は『素直』だという点。言われたことを言われた通りにしようとします。だからこそ1年生のときは、勉強するクセをつけやすいです」
「私の教え子たちは、遊ぶ前に宿題をする子が多い。それは常日ごろから、『宿題を最後に残しておくと、遅くなって眠くなる、眠いときにしたらちゃんとできないから、怒られるかもしれない』とか『先にしておけば、宿題したの?と親に聞かれたときに、したよ、と言えるんだよ、その後の時間はみんな君たちの遊ぶ時間なんだよ』と四六時中言い聞かせているからです」
「『早くやりなさい!』ではなく、『早く宿題が終わったら、いいことばかりだよ』と対話するのがお勧めです。『遊び』を持ち出すのが有効だと思います。ただ注意してほしいことが1点あります。早く終わると、親は『終わったのならこれもやったら』とプラスアルファをさせようとしがちですが、それをすると『早くやってもいいことがない』と思ってやらなくなります」
「1年生はやる気満々で可能性の塊です。自己肯定感も最も高い時期で、自分は何でもできると思っているので褒めるのが有効だと思います。また、まだ素直な時期なので、『宿題やったの?』と親が聞いて、『今やろうと思っていたのに』と答えた場合は、本当にそうかもしれません。後述しますが、上の学年になると、同じセリフを発しても真意は違う可能性はあります」
宿題と生活習慣がごちゃまぜになりがちな1年生
1年生ならではの課題もあります。「1年生の場合、宿題などの勉強と、明日の時間割の準備などの生活習慣の区別がついていない子も多いです。そこは親が、ちゃんと分けてあげましょう。というのも……」

次ページから読める内容
- 1年生の親が知っておきたい6つのポイント
- 2年生の音読のできが、3年生以降の学力に影響する理由
- 難易度が上がる3年生、取り残されないためには
- 3年生で出てくる「今やろうと思っていたのに」の対処法
- 「なぜ宿題をしなくてはいけないの?」と聞かれたときの奥の手
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