内気で人前で話をすることが苦手な子の場合、授業中に積極的に手を挙げて発言したり、発表したりができないこともあるでしょう。親としては「せっかくの機会なのにもったいない」とモヤモヤし、「いつかは人前で話す力も身に付くのか?」と不安な気持ちを抱えることもありますが、内気な子をどのようにサポートしていけばよいのでしょうか。白百合女子大学人間総合学部教授の菅原ますみさんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 低学年の学び 「センス・オブ・ワンダー」が土台に
(2) 前編 低学年の読書感想文 親次第で作文好きにも嫌いにも
(3) 後編 読書感想文コツ 低学年でも一人で書き上げ自信に!
(4) 低学年のお泊まり体験、経験値を上げ成長する機会に
(5) 人前での発言が苦手な子どうサポート? 3つのステップ ←今回はココ

性格は遺伝的につくられる面もある

 ハツラツと挙手をして発言をする子がいる一方で、内気なわが子がモジモジと下を向いていたり、分かっているだろうに手を挙げられずにいたり……。個人面談などでわが子のそんな様子を知ると、「もったいない」「もうちょっと頑張れればいいのに」「人前での発言が苦手だと損をしてしまうのでは」などと不安に思い、歯がゆさを感じることもあるでしょう。

 これに対して「内気な子は、抑制的な性格なため、人前で発言することは苦手かもしれないけれども、別の面から見れば、『慎重で警戒心が高い』『状況をキャッチする力が強い』などといったよい面もたくさんあります。でも学校では発言の積極性なども評価対象となるので、親としては何とかしたいと思いますよね」と話すのは、パーソナリティー心理学に詳しい菅原ますみさんです。

 菅原さんによるとパーソナリティー心理学はここ数十年で大きく研究が進み、人の性格がいつからどのように発達してくるのか、ということが明らかになってきているといいます。

 「新生児でもすぐに泣く子やそうでない子がいます。また、泣いてもすぐに泣きやむ子もいれば、ずっと泣いている子もいますよね。脳の機能や構造などに関する生物学的な研究から、刺激に対する脳の興奮のしやすさや敏感さ、すぐに泣きやむかどうかといった脳の鎮静性には、生まれながらに個人差があることが分かっています。つまり性格は遺伝的な要因にも影響される面があるのです」

 もちろん生きていく中での経験や環境によって人の性格は変化していくとはいえ、ベースには遺伝的に持って生まれた脳の特性も関わっているため、180度ガラリと変わることはできないと菅原さん。だからこそ大事なのが、持って生まれた性格を受け入れ、場面に適応していくために戦略を立てていくことだそう。次のページから、内気な子が、学校で発言をするために親がどのような戦略を立てて、サポートをしていけばよいか、3つのステップに沿って詳しく聞いていきます。