9歳前後になると、いわゆる親友ができ始める子がいます。親としては「同じ子とばかり遊んで、世界が狭くなるのではないか」と心配になるかもしれませんが、こうした親友の存在は、子どもの成長にとって、大きな意味があるのだそうです。子どもの育ちにどんな影響があるのでしょうか。逆に、親友ができない子はダメなのでしょうか。心理学的に見た「親友」の意味について、神戸女学院大学人間科学部教授の須藤春佳さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 「親の意向をくもうとする子」に伸び悩みのリスク
(2) 「9歳前後からの親友関係」が子どもの自立心を育む ←今回はココ
(3) 東大至上主義も 幼いうちから階級意識を持つ是非は

豊かな人間関係の土台になる

 子どもの友だち関係は親にとっても気になるテーマの1つです。小学校中学年ごろにかけて、子どもによってはだんだんと友だち関係に変化が見られ、これまでの広く浅い友人関係から、深く交わる親友ができるようになる子もいるかもしれません。

 「振り返れば親自身も小学生時代に親友がいて、手紙のやりとりをしたり、おそろいの筆記用具を持ったりすることを楽しんだという人もいるのではないでしょうか? 個人差はありますが、こうした親友ができ始めるのは、9歳前後ごろといわれています」と話すのは神戸女学院大学教授で子どもの心の発達に詳しい須藤春佳さんです。

 こうした同性の親友関係のことを心理学ではチャムシップとよび、「チャムシップを経験することは、子どもにとって豊かな人間関係を学ぶことにつながる」と須藤さん。

 親によっては、「同じ子とばかり遊ぶことで世界が狭まってしまうのでは」と心配する人もいるかもしれませんが、逆に、親友関係が豊かな人間関係を学ぶことにつながるとはどういうことでしょう。

 さらに、「チャムシップは子どもの自立に深く関わっています。そのため、チャムシップの意義を知るにあたっては、自立に関わるもう一つの大きな関係である親子関係についても見直す機会になりえます」と須藤さんは言います。特に親子関係に関しては、一見仲の良い「友だち親子」ほど注意が必要なのだそう。それはどういうことでしょう?

 子どもの育ちにおけるチャムシップの意味、そしてチャムシップから振り返る親子関係について、須藤さんに詳しく聞いていきます。