夏休みも半ばとなり、気になるのが子どもの宿題の進み具合。なかでも後回しにするとプレッシャーが大きくなるのが自由研究ではないでしょうか。

 インターネットで検索すると、企業や大学などが自由研究のアイデアやテーマをたくさん紹介していますし、書店に行けば自由研究本がずらりと並んでいます。ただそれをそのまま子どもにやらせるのには抵抗がありませんか? また、工作した作品を提出して終了、となるのも避けたい。どうせなら夏休みが終わった後も興味を持てるようなテーマを子どもに選んでほしい……。

 そこで今回は自由研究のテーマ選びについて、その目的と併せて学習院大学文学部教育学科の飯沼慶一教授に聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年】
(1) 低学年の自由研究 テーマ選びのコツ10 ←今回はココ
(2) 低学年の自由研究テーマ10選 調査系&実験系
(3) 子どもの視力が低下 ファースト眼がねの選び方
(4) コンタクトレンズは何歳から? 矯正手術の可能性は

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

テーマ選びのコツ1:自由研究はなぜやるの? を考える

 飯沼先生は、2013年度に学習院大学に着任し、小学校の教員を目指す学生たちを教えていますが、それ以前は私立成城学園初等学校で小学校教員を23年務めていました。

 「夏休みの自由研究の提出物を見ると、見事に2タイプに分かれますよね。ほぼ親がやっているなという子と、全く親が関わらなかったという子。どちらが良いというわけではありませんが、自由研究は“自分なりに課題を発見して追究していく力”を育むのが本来の目的です」と飯沼先生。

 「そもそも戦後すぐの5年間だけ、小学校4年生以上を対象に教科の一つとして誕生したのが自由研究で、子どもたちの自主性を尊重する意図で始まりました。ただ、今は親子共に多忙ですよね。だから親は手出ししない! と構えるのではなく、夏休みの間に親子で一緒にいろんなことにチャレンジする機会、親子の時間をしっかり持つチャンスと捉えてもいいと思います」

 特に低学年の場合、ほとんどの子どもが課題を自分で発見して、それを一人で解決するということは難しいかもしれません。だからこそ親子で一緒に取り組むことで、やがて一人でできるようになる。それを繰り返すことで、課題の発見、解決のための思考パターンが身に付いていくというわけです。

 とはいえ一般的には低学年の場合、絵を描いて終わり、工作して終わりなど、自由研究=何か作ればOKと思ってしまう子どもが少なくないそう。でもそれでは少しもったいない、できればその後も興味を持ってもらいたいところです。

 「そういう意味では、身近なところから課題を見つけるというのが本来の自由研究にも合っていますし、その後にもつなげやすいでしょう」。そして、低学年の子どもが自分でテーマを発見するためには「声掛け」が重要だと飯沼先生は言います。

<次のページからの内容>

・日々の生活での“声掛け”で子どもの引き出しを増やす
・「作る」「実験する」など理科的なものがいい?
・本やインターネットの活用はOK?
・アウトドア派の子には公園、インドア派の子にはスーパー!?
・疑問を持って追求していくということは、生きる力につながる