最近、子どもの口の中のケアはしていますか。低学年の頃は、乳歯から永久歯への生え替わりの時期に当たります。「乳歯はいずれ抜けるし……」と関心が低くなっている人は多いかもしれません。一方、将来の歯並びが心配で歯列矯正という言葉が気になっている人もいるでしょう。今回は、歯並びやかみ合わせを意識して、低学年の時期に家庭で見直したい習慣について、次回は、低学年の親が抱きがちな歯列矯正などに関わる疑問について小児歯科専門医に教えてもらいます。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1)よい歯並びのために 家で見直せる小さな生活習慣 ←今回はココ
(2)生え替わり期 要注意の歯 歯列矯正いつ始める?
(3)水害への備えは親子の街歩きから 見るポイントは?

将来の歯並びやかみ合わせを考える上で大事な時期

 「自分でもう歯磨きできるでしょ」――。成長してくると、子どもの口の中を親がのぞく機会は減っているかもしれません。ところが、YUMI Kids Dental Clinic(大阪市)院長で小児歯科専門医の佐々木有美さんはこう言います。「乳歯から永久歯に生え替わる低学年の頃はいろいろな意味で大切な時期です。関心を持ってしっかり見てあげてください」

 個人差はありますが、6歳ごろから最初の永久歯が生えてきて、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に入ります。「この時期に、生活習慣や悪い癖を見直すことは、実は将来の歯並びやかみ合わせを考える上でとても大切です」

 正しくないかみ合わせのことを「不正咬合」と呼びます。「骨や歯自体に原因がある遺伝的なものと、環境因子が原因のものに分けられます。遺伝的な理由の不正咬合は予防できませんが、環境因子が原因の不正咬合は、生活習慣や悪い癖を見直すことで、歯並びやかみ合わせの悪化を予防することは可能です。装置などを使った矯正ではなく、今後、放置すると不正咬合になることが予測できて、その原因となる要素を早期に取り除くことは『予防矯正』と呼ばれます。

 低学年は、生活習慣や悪い癖を改善するには最適な時期です。未就学児の頃は、本人が改善の必要性や意味を理解できない場合も多いですが、低学年になれば、子ども本人の理解力がついてきます。一方で高学年以上になると、生活習慣や癖が定着してしまい、改善が難しいケースも出てきます」

子どもにこんな習慣・癖はついていない? チェックしてみよう□食事をしながら飲み物を飲んでいる□テレビを見ながら食べている□食事のときに足が床に着かずぶらぶらしている□口に入れたものをかむときに口が開き、上下の歯がカチカチいう□舌が白く汚れている□舌の側面に歯形がついている 詳しくは次ページから

 「歯の生え替わりに加え、口周辺もどんどん成長する時期です。悪化する原因を改善することで良いほうに持って行くことが可能な一方で、放置すると悪いほうへ進みやすい時期でもあります」。正しくかめているかチェックする方法や、食生活などの生活習慣で見直したほうがいいこと、家庭で取り入れられる小さな工夫などを佐々木さんに聞きました。

写真はイメージです
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