「最近子どもが『片付けが嫌』『習い事をやめたい』などと言わなくなった」「妙に物分かりがいい」……。親からしたら扱いやすい一方で、逆に「無理をしていないだろうか?」と心配になることもあるのでは。子どもが妙な物分かりのよさを見せる背景には何があるのでしょう。子育て心理学協会代表理事の東ちひろさんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 「親の意向をくもうとする子」に伸び悩みのリスク ←今回はココ
(2) 「9歳前後からの親友関係」が子どもの自立心を育む
(3) 東大至上主義も 幼いうちから階級意識を持つ是非は

親の意向をくむ子に2つの背景

 「『遊びに行く前に、部屋の片付けしないとダメだよね』『ピアノの練習は毎日しないといけないんだよね』などと子どもが妙に物分かりのよい発言ばかりをする場合は、もしかしたら『ママが部屋を片付けてほしいと思ってるから』『ピアノの練習を毎日するとママがうれしいみたいだから』と親に気を使っているのかもしれません。いわゆる忖度(そんたく)ですね」と話すのは、元幼稚園講師・小学校教諭で、現在心理学とコーチングを使ったアプローチで多くの子育て相談に応じている東ちひろさんです。

 「子どもが親に忖度をするなんて」と驚く人もいるかもしれませんが、親の意向をくみ取ろうとする子どもは、珍しくないと東さん。

 「幼児でもくみ取ろうとする子はいます。成人になっても『この人と結婚するって言ったら親が喜ぶのではないか』などと親の意向をくみ取ろうとする人もいるので、親への忖度に年齢は関係ありません

 自分の「好き」に従ってのびのびと成長してほしいと願うわが子が、実は親の意向をくみ取った言動をしていたとなるとショックを受ける人もいるかもしれません。「忖度傾向がいき過ぎると、子どもは伸び悩み、教育虐待につながるケースもある」と東さんは指摘します。親の意向をくみ取ってしまう子とそうでない子の違いはどこにあるのでしょう? そして、「忖度傾向」を放置してしまった場合に、起こり得るリスクとは? 詳しく聞いていきましょう。