低学年の子どもたちは、学校や学童から帰宅すると、寝るまでの数時間に、宿題や明日の用意、場合によっては習い事の練習や宿題など、すべきことがたくさんあります。けれども、親が焦っていくら声掛けをしても、動かないどころか、返事すらしない様子にイライラしてしまう……ということはないでしょうか。こうした状況から脱するためにはどうすればよいか、教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さんに聞きました。

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子の「返事しない」「動かない」は論点が違う

 「片付けなさい」「宿題やったの?」「ピアノの練習は?」何度子どもに声を掛けても動こうとしないどころか、返事もしないということはないでしょうか。「小学校低学年で親の声掛けを無視するのは、少し早いのではないか?」「今からこんな調子では思春期を迎えた時にどうなってしまうのだろう?」と考えると、親としては不安になってしまいます。

 けれども、「子どもたちが親のこうした声掛けに返事をしないのは普通のこと」だと、子どもの教育に詳しい石田勝紀さんは言います。

 「子どもとしては気乗りしないことを何度も言われて、返事をするのもおっくうになっているという状態です。もちろん、子どものこうした状態に親がイライラするのも分かります。

 でも、一度冷静に整理してほしいのですが、そもそもの問題は、『親がやらせたいことを子どもがしないこと』のはずです。なのに、いつの間にか『子どもが返事をしないこと』『言った通りに動かないこと』に問題がすり替わって、それに対してイライラしてしまっていますよね。本来、『子どもが動かない』ということは、声掛けで子どもを動かそうとする、親のアプローチが間違っているということなので、アプローチを変えていく必要があるのです」

 こうして論点がズレたままイライラや悩みを膨らませてしまっている親は少なくないと石田さん。子どもが動かないばかりでなく、イライラしながら声掛けを続けることで、親子関係にネガティブな影響を与えてしまう恐れもあるのだそう。

 さらに石田さんによると、自分から動ける子になるためには、親子の間にあるギャップを理解した上で、その子に合った具体策を考えて試していく必要があるといいます。次のページから、動ける子になるための方法について詳しく聞いていきます。