自分の中にある「こうあるべき」「こうすべき」といった価値観がどんなものかを知っておくことで、怒りを上手にコントロールできるようになることを目指す「アンガーマネジメント」。これは、大人だけでなく子どもも実践することができるといいます。

 思い通りにいかないことがあってイライラ、友達とのけんかで、かっとなって手が出てしまった……。子どもが自分の怒りの感情とうまく付き合っていくにはどうしたらいいのでしょうか。前回に続き、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんにお話を聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1)共働きっ子の夏計画 好奇心を育むサマープログラム
(2)夏休みの宿題 低学年の子に必要な親のサポートは?
(3)親のイライラ 大切なのはコントロールすること
(4)子どもの怒り 「上手に表現する方法」を親が教えて ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

言葉の代わりに、絵に描くことで「怒りって何?」を知る

 「アンガーマネジメントのプログラムは5歳から用意されていて、アメリカでは子どもにもごく当たり前に行っています。夏休みに子どもたちが参加するサマーキャンプでも、アンガーマネジメントが取り入れられています」と安藤さん。日本でも、文部科学省がアンガーマネジメントを「感情理解教育」と訳し、その意義に注目しているといいます。

 アンガーマネジメントでは、自分が大切にしていること=「『~べき』という価値観」を言葉にして認識するプロセスが重要になってきます。しかし小学校低学年くらいでは、感情を言語化して客観視するのはまだ難しいはず。どういった方法で実践するのでしょうか。

 「子どもは言語能力が未発達なので、代わりに体を使う、絵を描いてもらうなど、ちょっとした遊びを通じて『自分の怒りって、何だろうね』ということを知ってもらいます。例えば、協会が制作している子ども向けのワークブックには『感情カード』というものがあって、自分の顔を描いてみます。怒っているときの顔、うれしいときの顔…言葉ではなく表情を使って、『自分が今どうなっているのか』を表現してもらうわけです」

 「また、体の絵に、自分が怒ったときの体がどうなるかを描き込んでもらったりもします。そうすると、頭を赤く塗る子もいれば、手を青く塗る子もいる。怒るときゅーっとおなかが痛くなるという子もいます。子どもによって、感覚って違うんですよね。そうやって、まずは五感を使って『表現すること』が重要なのです

 では、怒りを表現することによって、子どもにどんなことが起こるのでしょうか。

<次のページからの内容>
● 目に見える形にして、怒りを扱いやすくする
● 相手に怒りを伝えるときは「アイメッセージ」で
● 子どもの怒りを落ち着かせるテクニック
● 子どもの「~べきの境界線」は、親によって作られる
● 怒りのコントロールは、子どもの可能性を広げる