「今年こそ夏休みの最後に焦って宿題をしなくて済むよう、計画的に過ごしてほしい」「頑張って自由研究に取り組み、有意義な夏休みにしてほしい」と思っている親も少なくないのでは。自由研究や読書感想文などの宿題を、自分ごととしてしっかりこなしながら、計画的かつ有意義な夏休みにするにはどうすればよいのでしょう。「宿題しない、ダラダラする…子を責めずしくみで改善」に続き、臨床心理士・公認心理師の中島美鈴さんに話を聞きました。(DUAL特選シリーズ/2022年7月5日の記事を再公開します)

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 夏の宿題 読書感想文も自由研究もしくみ化で解決 ←今回はココ
(2) 「不安先行型の親」がはまりがちな落とし穴は
(3) 「乱暴なあの子と遊んじゃダメ」と親が言うのはNG?
(4) 延々と続くわが子のおしゃべり 聞き流すのはNG?

共働き家庭、精神論だけでは夏休みを乗り切れない

 「今年こそ計画的に」「しっかり考えて自由研究に取り組んでほしい」と理想を抱くほど、うまくいかない時に「なんでできないの?」「あんなにちゃんとしなさいって言ったのに」と、イライラしたり怒ったりしてしまうかもしれません。

 「『宿題しない、ダラダラする…子を責めずしくみで改善』の記事でもお話しした通り、子育てに必要なのは精神論でなく、スムーズに進めていくためのしくみで、そのしくみづくりに役立つのが、認知行動療法の考え方です。

 忙しい共働き家庭にとって、勉強も生活も家庭でサポートしなければならない夏休みを精神論だけでやっていくのは、かなりきついもの。だからこそしくみの出番なのです」。こう話すのは、臨床心理士・公認心理師で、小学校5年生の子の母親でもある中島美鈴さんです。

 中島さんは「まず親子が知るべきは、夏休みは永遠ではないということ」だと話します。

 「低学年の子どもはまだスケジュールや時間の観念が十分育っていないために、夏休みがずっと続くと勘違いしてしまいがちです。でも子どもだけでなく、意外と親も『宿題だけでなく、1学期の復習も、2学期の予習もさせたいし、夏休みならではの経験もさせたい』などと、夏休みに普段できないことをすべて詰め込みたいと思ってはいませんか? 夏休みは40日しかなく、学童に通っているとあっという間に過ぎてしまいます。そこを認識しなければ夏休みの終わりに『思ったほどの事ができなかった』と消化不良を感じてしまいます」

 だからこそ大事なのは計画で、その計画こそが夏休みをしくみ化する肝になると中島さん。

 「『ゴールの共有』『10分ブロック』『強化』など、認知行動療法の考え方を取り入れながら計画を立てることで、子どもがすべきことのしくみ化ができ、最終日には『有意義な夏休みだった』と思えるはずです。さらに、親子を悩ます読書感想文、自由研究についても認知行動療法を取り入れることで、スムーズに進めていくことができますよ」

 夏休みの計画づくりの具体策、そして自由研究、読書感想文をスムーズに進めるためのしくみ化のコツについて中島さんに詳しく聞いていきます。