小学校に入ると、子どもは、友達やテレビ、動画、マンガなどからさまざまな言葉をインプットしてきて、使うようになります。親が使ってほしくない言葉や表現を使うと、親は「ちょっと待って!」と思うかもしれません。円滑なコミュニケーションのための言葉の「言い換え」に関する著書もある、メンタルアップマネージャの大野萌子さんに、前編に続いて、低学年のうちに子どもに伝えたい言葉の教育と語彙の増やし方について聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 子の乱暴な言葉遣い ボキャブラリー増やす好機に
(2) 豊富な「言い換え力」育む親子会話と読み聞かせ工夫 ←今回はココ
(3) 子が自ら動かない・返事もしないイライラどう解消?
(4) 高濱正伸 後伸びするため知識より大事な2つのこと

その言葉遣い、ちょっと待って!と思ったら

 「ん? その言葉使い、ちょっと待って! あまり使ってほしくない」――。相手を傷つける可能性のある「乱暴な言葉」とまではいかなくても、子どもの発する言葉を聞いて、そう思った瞬間があるという親は少なくないでしょう。どんな言葉遣いを好ましいと思うか、好ましくないと思うか、は人それぞれ。それこそ家庭方針の問題でもあります。例えば、「昼メシを食う」という言葉。子どもの性別によっても、抱えるモヤモヤは異なるかもしれません。

 「言葉が行動を作るという側面は少なからずありますので、言葉遣いに関する家庭での教育は大事だと思います。ただ、教育は刷り込みなので、親が1回ぐらい手法や態度を変えた程度で子どもはすぐには変わらないでしょう」。メンタルアップマネージャの大野萌子さんは言います。

 「低学年はその後の人生の土台を作る、とても大切な時期。高学年になると、徐々に親の言うことが耳に入らなくなり、親は立ち入れなくなるので、伝えたい基本的なことはこの時期にしっかり伝えておくことをお勧めします

 とはいえ、何かを上から教えるというガチガチの姿勢ではなく、親も「遊び」の一環として捉えて、言葉を親子で学ぶといいと大野さんは提案します。「例えば、流行歌でもあった『うっせぇわ』のような言葉は、そもそも歌でもありますし、親も一緒に楽しんで使ってみたらどうでしょうか」

 言葉遣いについて子どもに伝えるには、親子の会話で工夫をすることが大切と、大野さんは言います。昔であれば、言葉遣いに関して「女の子なのに」「男の子なのに」といったフレーズが使われがちでしたが、そうした言葉を用いずに、ちょっとした工夫で子どもに上手に伝えるアイデアについて、大野さんに次ページから教えてもらいます。

 「前編で伝えたように、そもそも子どもがボキャブラリーを増やすのはいいこと。コミュニケーションという観点はもちろん、語彙が増えればどんどん本を読めるようになり、新しい知識を増やすことができます」。子どもが語彙を増やすために、日常的にできる親の工夫についても、次ページから詳しく聞きます。

次のページから読める内容

・親が無意識に使っている言葉をまねしている?
・昔は「女の子なのにそんな言葉遣いしないで」と言われたけど……
・使ってほしくない「新しい流行語」どうする?
・「言い換え力」を身に付ける読み聞かせの工夫