小学校に入ると、子どもの世界は広がり、友達やテレビ、動画、マンガなどからさまざまな言葉を入手して、使うようになります。子どもがこれまでとは違う、乱暴な言葉遣いをすると、親は慌てて叱ったり、困惑したりしてしまう場面があるかもしれません。そんなときはどうすればいいのでしょうか。人間関係と「言葉」についての著書もある、メンタルアップマネージャの大野萌子さんに2回にわたって聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 子の乱暴な言葉遣い ボキャブラリー増やす好機に ←今回はココ
(2) 豊富な「言い換え力」育む親子会話と読み聞かせ工夫
(3) 子が自ら動かない・返事もしないイライラどう解消?
(4) 高濱正伸 後伸びするため知識より大事な2つのこと

そもそも「乱暴な言葉」とは何か

 『うっせぇわ』という歌が流行したことで、家でも子どもが「うっせぇわ」と使い出してドキッとした親は少なくないかもしれません。子どもはさまざまなところから、多様な言葉を仕入れてきます。

 親や周囲の人に対して、あるいは友達を形容する言葉として、相手を傷つけかねない「乱暴な言葉」を使ったら、動揺する親は多いでしょう。そんなとき、どんな反応をしたらいいのでしょうか。

 「そもそも『乱暴な言葉』は一切使ってはダメなのか。そうではないですよね」。円滑なコミュニケーションのための『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』の著者であり、低学年を中心とした学習塾での講師経験も10年以上ある、メンタルアップマネージャの大野萌子さんは言います。

 「その言葉が『乱暴な言葉』になるかどうかは、シチュエーションや言い方によっても変わります。例えば『バカ』という言葉も、人間関係やシチュエーションによっては、『バカだなあ』と慰める言葉になることもあります」

 その上で大野さんは、まず親が「どんな言葉であれ、子どもがボキャブラリーを増やすのはいいことである」という前向きな視点を持ったほうがいいとアドバイスします。「乱暴な言葉を使ったときはボキャブラリーを増やすよい機会とも言えます」。この機会を上手にチャンスに変えることが「将来のコミュニケーションスキルを育てる」と指摘する大野さんに、親はどう反応したらいいかなど、3つのポイントを聞きました。次ページから詳しく解説してもらいます。

乱暴な言葉をボキャブラリー獲得のチャンスに変える3つの工夫ポイント 感情的になって頭ごなしに叱らない 普通のトーンで「2つの質問」をする 「行動の評価」と「人格否定」の違いを少しずつ伝える