日本人は、自己肯定感が低いといわれていますが、それは子どもの頃から、周囲の人や大人たちから、「できていないところ」に注目され、指摘されてきたためかもしれません。今回は、ノートを活用して「できたこと」に目を向け、親子で自己肯定感を高め合う方法を専門家に教えてもらいました。

【年齢別記事 低学年のママ・パパ向け】
(1) 高濱正伸 文章題・計算…低学年でのつまずきどう対応?
(2) 親子の自己肯定感 「できたことを書く」習慣で高める ←今回はココ

まずは「できたこと」に目を向ける

 小学校に上がると、テストや成績表などによって、子ども同士が比較されたり、他人に「評価」されたりすることが増えてきます。多数の企業や学校で人材育成や研修を行う一方、子どもたちの自己肯定感を高める社会活動を行っている永谷研一さんはこう言います。

 「お子さんたちは、テストで90点を取っても、『惜しかったね。あとちょっとで100点だったね』などと声を掛けられ、『取れなかった10点の部分』に注目されることがほとんどではないでしょうか。こうして、自分のマイナス面に注目され、できなかった点ばかりを指摘されていると、子どももまた、自分のダメな部分ばかりに着目するようになってしまいます。

 子どもの自己肯定感を下げないためには、子どもも親も、日頃からできなかったことではなく『できたこと』に目を向ける必要があります。例えば、『時間がなくて10分しか勉強ができなかった』と考えるのではなく、『時間がないのに10分勉強できた』という考え方に、スイッチしてあげることが大切です」

 自己肯定感を上げるために永谷さんが勧めるのは、1日5分、ノートなどにその日の「できたこと」を記入する習慣をつけること。しかも、それは「親子」で行うと、より高い効果が期待できるといいます。

 「親自身も、仕事で問題点(ダメな点)を洗い出して対策をするという『問題解決活動』を、日々行っているでしょう。子育てにおいても同様に、『ここがダメだから、改善すべき』という考え方にとらわれがちな面がないでしょうか。人は、自分のできたことに目を向けられるようになって、初めて他人のできたことにも目を向けられます。実際には、子ども以上に親のほうが自己肯定感が低いことが問題だと思いますので、まずは、親が自分自身の『できたこと』に着目できるようになるといいですね」

 「できたこと」を「書き出す」習慣をつけると、親子にどんな変化が訪れるのでしょうか? また、書き出すことを習慣にし、その効果をさらに高めるためにはどんな項目を、どんな手順や頻度で書いたらいいのでしょう。次のページから、永谷さんに解説してもらいます。