緊急事態宣言が解除され、通常登校、分散登校などが始まりました。しかし、学習レベルが一気に上がるといわれている小3だけに、「休校明けは、家庭でも子どもの学習をフォローしてあげられるのが理想です」と、三鷹市立羽沢小学校主任教諭の千葉布紀子さんは語ります。今回は、小学3年生が本来1学期に習うはずだった単元の学習ポイントを千葉さんに聞き、学年が進んでも子どもが困ることのない「家庭でのフォロー」について解説してもらいました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 小2の国語と算数 駆け足授業、家庭でどうフォロー
(2) 小3は抽象的思考へ 教科ごとにフォローのこつ解説←今回はココ
(3) 学童の役割は?「行きたくない」に親はどう対応?
(4) 長引くおねしょは夜尿症かも 子の自尊心をどう守る?

3年生のゴールは「抽象的思考」を身につけること

 学校が長期休校中、子どもの学習を親がサポートする機会も増えたのではないでしょうか? 1、2年生のときに比べて学習レベルが一気に上がる小3では、国語、算数以外にも理科や社会なども加わり、子どもの学びの裾野が広がっていきます。学校ではどういったことを学んでいくのでしょうか?

 「3年生の学習では、目に見えるものや聞こえるものを基に考える『具体的思考』から、目に見えないものを頭の中で考える『抽象的思考』へと、段階的に移行していきます。例えば、1、2年生の頃には、まったく別の生物だと認識していたカブトムシとチョウも、3年生ではそれらをまとめて『昆虫』と呼ぶなど、複数の生物などの共通点を見つけて抽象化、つまり、ひとまとまりにしていくプロセスを学ぶのです。

 どうして、抽象的思考が大切かというと、物事を俯瞰(ふかん)して見られるようになるためです。例えば、『犬』と『猫』はどちらも『哺乳類』であるという抽象化のステップを踏むことで、子どもは『同じ哺乳類なら、こんな共通点もあるのでは?』と考えを深められるようになります。最近では、中学受験でも抽象的な問題が増えています。そうした問題に対応できる柔軟な考え方や応用力は、この『抽象化』というステップを踏むことが非常に重要です」

 子どもの学習を家庭でフォローするには、親も「この1年で、子どもがどういうことを学んでいくのか?」というゴールを理解している必要があります。1年間のゴールを知って子どもの学習に関わるのと、知らずに関わるのとでは、その後の子どもの成長にも大きな差が出てくることが考えられます。

 次のページからは千葉さんに、今やっておきたい、小3の、国語、算数、理科、社会の4教科の学習フォローのポイントについて、詳しく解説してもらいます。

画像はイメージ
画像はイメージ