「給食ハラスメント」という言葉を耳にしたことはありますか。給食の完食を強要され、全部食べ終えるまで居残り……。親世代が子どもだったひと昔前は、そんな光景も普通だったかもしれません。最近ニュースでも話題に上ることの多い、小学校の給食。親が気にかけておくといいポイントを探りました。

【年齢別特集 小学校低学年ママ・パパ向け】
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(2) いつもと異なる経験を 民間学童のサマープログラム
(3) 「残すな」と言われ不登校も 給食ハラスメントとは?←今回はココ
(4) 「食べなさい」は逆効果? 食卓で自己肯定感を高める

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

いまどきの小学校の給食ってどんな感じ?

 都内の小学校に通う子どもの親4人に、給食の様子を聞いてみました。

 「小3の娘に聞いたところ、苦手なものが配られるとき、当番の子に『少なめで』と言って減らしてもらうそうです。それでも多いと思ったら、食べる前に自分で減らす。お代わりをしたい子が残ったおかずを食べる。争奪戦はじゃんけん。食べる時間は、給食時間(20分間)~昼休み(15分間)が終わるまでで、いただきますをしたら、全部食べるのがルール。昼休み後の掃除の時間に突入したら、残してもよいそう。昼休みまで食い込むメンバーは決まっていて、おしゃべりをしているわけではないが単に食べるのが遅い子とのこと。また、今のクラスでは、宿題を忘れてきた子は、給食を食べる前に終わらせるというルールがあるそうで、配膳中に終わらないと、クラスメートより遅れて食べ始める。結果的に、時間内に食べ終わらず、昼休みに食い込んでいるとのこと」(小3女子の母親)

 「食べ始める前に、先生から『減らす人こっちおいでー』という呼びかけがあり、嫌いなもの、減らしたいものがある人は、先生のところに持って行って、配膳容器に戻して減らしてもらうそう。それでも全部食べられなかったら、普通に配膳テーブルに持って行って、給食係に片づけてもらう。残すことを先生に断らなくてもいいとのことなので、残している人はいっぱいいるそう」(小1女子の母親)

 「うちの娘は、時間が足りなくていつも残しています。入学当初、食べきれなくて泣いたけど、先生に『全部食べなくても大丈夫だよ』と言われてから気が楽になったよう。残す人は食べ終わりぐらいのタイミングで手を挙げて先生に申し出て、ここまで食べるけど、これは残す、と話し合ってから残すそうで、残す行為を怒られることはない、と言っていました」(小1女子の母親)

 「うちの子は、だいたいいつも完食しているとのこと。担任の先生に聞いた話では、『最初からたくさん盛らない』『自分たちで調整して盛る』ことになっているからクラスの半分くらいの子は完食+お代わりをしているそう。『少なめに盛る』ことで『これくらいなら食べられる』という感覚を子どもたちが持てるようにし、食べ物を無駄にしないと伝えているようです。好き嫌いも無理強いしないし、残したこともあまり悪く言わない。先生の話によると、4月中は『ほぼ全員、半分しか牛乳を飲めていない』ので、 『少しずつ飲めるようにしようね』と声を掛けていたそうです 」(小1男子の母親)

「給食が嫌で学校に行きたがらない」という相談も

 給食に関する指導方法は、学校によって、また担任の先生によっても様々です。「完食を無理強いしない方針の先生が増えるのは本当にいいことだと思います」。そう話すのは、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事の山口健太さん。

 一方、SNSなどを通じて、同協会には子どもや保護者などから給食に関する悩みが寄せられているといいます。「特に入学のタイミングである春は、給食に関わる悩み相談は増えます。小学校の給食に関してよくある相談は『給食が嫌で学校に行きたがらない』というパターンです

<次のページからの内容>

●勝手にお代わりを盛られて……
●「完食指導」の背景にあるもの
●悩んだ経験がない人には理解しにくい問題
●指導力不足? 先生にもプレッシャー
●何分で食べなくてはいけない? 「黙食」とは