手を洗わない、プリントを出さない、宿題しない、ランドセルを片付けない、やることが終わってないのにダラダラしている……。毎日の子育てのイライラポイントを挙げだしたらキリがないという人も少なくないのでは。「もっとちゃんと」「もっときちんと」とどれだけ思ってもそうならず、つらさを感じている親はどうすればよいのでしょう? 臨床心理士・公認心理師の中島美鈴さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 習い事・勉強・生活習慣 子育ての正しい試行錯誤は
(2) 子の身長を伸ばすために、唯一家庭でできることは
(3) 宿題しない、ダラダラする…原因は子でなく「しくみ」に ←今回はココ
(4) 低学年女子に多い3人組の仲間外れトラブル、対策は

しくみが育む自己管理能力

 「何度言っても自分から宿題をしないのは性格のせい?」「明日の用意も片付けも自分からきちんとできないのは私の子育てが下手だからだろうか」……。こうして考えていくと子育ての悩みはどこまでも深まっていってしまうもの。時に諭してみたり、叱ってみたりしても、ダラダラしている子どもにイライラ、うんざりしているという人もいるでしょう。

 「『もっとちゃんと』『もっときちんと』……といった精神論で子育てをすると、親も子もつらいですよね。子育ては認知行動療法の考え方を生かしたしくみを取り入れることでずっと楽になりますよ」と話すのは、臨床心理士・公認心理師の中島美鈴さん。現在小学校5年生の息子を育てています。

 「認知行動療法とは、解決すべき問題があったときに、原因を人ではなく考え方や行動に求め、その考え方の幅を広げたり、行動のレパートリーを広げたり、精神論に頼らなくて済むしくみを作ったりすることで解決していくという心理療法の1つです。子育てでいえば気になることを『子どもの性格のせい』『親である自分の育て方のせい』にしなくてすむのが最大の利点です」と中島さん。

 就学すると子どもが毎日すべきことが格段に増えますが、低学年の子どもがこうした状況を自分で整理してすべきことをこなしていくことは、ハードルが高いのだそう。「しくみで能力とタスクとのギャップは埋めていくことができますし、こうしたしくみを親子で一緒に作っていくことは子どもの自己管理能力を育てることにつながっていきます」という中島さんに、子育てがラクになるしくみづくりについて具体的に聞いていきます。