前回は骨を丈夫にするためには運動と睡眠が欠かせないことをお伝えしました。今回は強い骨のために必要な栄養素について、原宿リハビリテーション病院 名誉院長を務める林泰史さんに聞きました。

林さんが摂取を推奨する骨の健康維持に大切な「骨のゴールデン・トライアングル」とは?

【年齢別特集 小学校低学年ママ・パパ向け】
(1) 異性親 理想の男性&女性像を子に押し付けてない?
(2) 同性の親 自分がなりたい自分を投影してないか
(3) 子どもの骨を強くするのに必要なのは運動+睡眠
(4) 低学年の子ども 足りていないのはカルシウム?←今回はココ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

今の子は「骨のゴールデン・トライアングル」の摂取が足りない

 前回お伝えした通り、林さんによれば骨の発達に影響するのは運動が5割、栄養が3割、睡眠が2割

 このうち運動は骨を作る細胞を活性化しますし、睡眠は成長ホルモンの分泌のために重要です。

 一方、栄養は骨を作る材料として欠かせません。

 ところが近年、子育て中のママたちにあまりに情報が入り過ぎてしまうことが影響しているためか、「体づくりの部分が置いてきぼりになってしまっているように感じています」と林さん。

 「以前、『コツコツ骨ラボ(こつこつほねらぼ)』で行った子どもの成長において最も大切だと思うことを聞いた調査では、現在50~60代の先輩ママ世代が『丈夫な体づくり』を重視していたのに対し、30~40代のママ世代は『学力』『コミュニケーション能力』などの“知性”を重視する傾向になっていることが分かったんです」

 同じ調査で食生活において子どもに意識して摂らせている食材として、骨の材料となる「牛乳」と答えた人が、20年前に比べて20%も減少していたといいます。

 「確かに牛乳以外の食材でカルシウムを摂取することはできますが、ただ、骨の材料となる食材への意識が、薄れているようにも感じています」

 骨折発生率が2016年度には25年前の約1.4倍にまで増えている背景には、運動不足、睡眠不足だけでなく、栄養不足も関与していると考えて間違いなさそうです。

 「また、丈夫な骨を作る栄養というと、カルシウムをすぐに思い浮かべると思いますし、確かにカルシウムは骨にとってとても大切な栄養素ですが、それだけでは十分ではありません。意識してほしいのは、『骨のゴールデン・トライアングル』なのです」と林さん。

<次のページからの内容>

● カルシウム:骨や歯の材料は牛乳以外でも摂れる
● 木綿豆腐約1/2丁に含まれるカルシウム量は
● 青魚+日光浴で十分なビタミンDを摂取できる
● ビタミンK2摂取には納豆が最強