リモートワークをしながら子どもの世話をする日々が続いてきた中、忙しさと疲れからささいなことにイライラし、つい子どもにぶつけてしまう、ということもあったでしょう。こうした「怒り」という感情・行為は、どのようにして発生し、子どもにどのような影響を及ぼすのでしょうか。また、怒らなくても子どもの行動を正しい方向に導く方法はあるのでしょうか。認知行動療法で子どもの心に向き合う専門家に聞きました。

 いつまでもゲームをやめない、宿題をせずに悪ふざけばかりしている、きょうだいげんかが絶えない…。そんなときは「いいかげんにしなさい!」とつい声を荒らげ、感情的に子どもを叱ることもあったかもしれません。

 「自分の時間がまったくない中で仕事も子育ても、というイレギュラーな状況にあっては、イライラの気持ちを抑えきれなかったり、自分以外の人にぶつけたりすることは仕方がありませんし、そのことで後悔したり葛藤したりするのは親として自然なことでしょう。ただ、こうした怒りがエスカレートして日常化したり、子どもが親自身のストレスやイライラのはけ口になってしまうと、子どもの心身に悪影響を及ぼす可能性があります」。このように話すのは、千葉大学子どものこころの発達教育研究センター特任講師で、認知行動療法という方法を使って子どもの心の問題に向き合っている精神科医の高橋純平さんです。

 高橋さんは、親が子どもにぶつける怒りの度合いや内容が強い場合、子どもには以下のような症状が見られると言います。

・笑顔が少なくなる
・頭痛や腹痛など、身体の不調が増える
・常にイライラしている、または元気がなくなる
・食事をあまり食べなくなる、眠れなくなる
・大人に対して過度に反抗的な態度をとる、きょうだいげんかがエスカレートする
・学校に行くのを嫌がる、勉強するのを嫌がる

 不登校になったり、クラスメートとうまくコミュニケーションが取れなくなったりする可能性もあります。

 日常的に親の怒りを受けるなどし、心身に支障を来して精神科を受診するのは、小学校中学年以降の思春期が多いそうです。「子どもの自我が育ってくるにつれて、子育てにおいて親の期待通りにいかないことが増え、頻繁に怒られるようになり、結果として子どもが症状を呈して、何かこの子どもには問題があるのではないかと受診するのです」(高橋さん)

 親は、どうすればうまく怒りをコントロールできるすべを身に付けられるでしょうか。それにはまず、怒りがどのように発生するか、メカニズムを知ることが大切です。次ページから、怒りやすい⾃分の性質を改善するための⽅法や怒らずに⼦どもの⾏動を適切な⽅向に導く⽅法を具体的に解説します。

写真はイメージ
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次ページから読める内容

  • 怒れば怒るほど、望む結果からは遠のく
  • 怒らずに子どもを変えるには、3つの行動を意識
  • 子どもを変えようとすることが正しいことか、親は自問を
  • 怒りをコントロールするには客観的な振り返りが大切

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