国語の授業や学校行事の後に取り組むことの多い作文や日記。得意な子はスラスラ書けるけれど、苦手な子は一文字も進まない……。一体、この違いは何なのでしょうか? どうしたら、スラスラ書けるようになるのでしょう? 5月の小学校低学年特集〔後半〕では、そんな親子の悩みを解決します! 公立小学校で23年間教壇に立ち、現在は教育評論家として活躍している親野智可等先生にノウハウを教えてもらいました。

【年齢別特集 小学校低学年ママ・パパ向け】
(1) 学童はイヤだと言われたら…民間学童、留守番の選択
(2) 子どもの一人留守番はいつから?家庭の放課後ルール
(3) どんな子でもスラスラ進む日記・作文の書き方 ←今回はココ
(4) コンクールで表彰される読書感想文は何が違うの?

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

低学年で取り組む日記。日記を書かせる目的って何?

 作文力を上げるには、書く習慣をつけることが大事です。とはいえ、「作文を書く」ことは、低学年の子どもにとっては少しハードルが高いもの。そこでおすすめなのが、毎日の出来事を書く日記です。「実際、小学校でも低学年には作文より日記を書かせる機会が多い」と親野先生は話します。

 「日記のよいところは、作文ほど長く書かなくてよいという点です。また、特に決まったテーマがないので、内容の自由度が高いということも言えます。例えば、文章が苦手な子なら絵日記でもいいし、自分で書けない子は、親子で交換日記形式にするのでもいいでしょう。大事なのは、少しでも書く機会を増やし、書くことに慣れさせてあげることです」

 それともう一つ、日記ならではのよさがあります。

 「日記は自分が過ごした一日を書くので、自分の生活を見直すよい機会になります。たとえ低学年の子であっても、日記で一日を振り返ることで、『今の自分の行動が正しかったか? 反省すべきことはなかったか?』など、自分と向き合う習慣がつきます。そうやって振り返ることで、次に生かそうと心が動くようになります」

 「日記という形ではありませんが、フィギュアスケートの羽生結弦選手や将棋の藤井聡太六段は、子どもの頃からノートにその日に学んだことや反省点などを書く習慣があったと言います。そうやって書き留めることで、今の自分を見つめ、目標に向かって工夫をしてきたのでしょう。このように、書くことによる成果は大きいのです」

 とはいえ、実際はその「書くこと」への苦手意識がある子どものほうが多いでしょう。大人からすると、「今日あった出来事を書けばいいだけ」「自分のことなのに何で書けないのだろう?」と思うかもしれませんが、書けないことには理由があります

「大事なのは、少しでも書く機会を増やし、書くことに慣れさせてあげることです」(教育評論家の親野智可等先生)
「大事なのは、少しでも書く機会を増やし、書くことに慣れさせてあげることです」(教育評論家の親野智可等先生)
<次のページからの内容>
● 子どもが日記や作文を書くのが苦手な理由とは?
● 親にできる、子どもの日記・作文サポート術
● 変化球! 「なりきり日記」「もし日記」の魔法