小学校に入学してしばらくたつと、子ども同士で遊ぶ約束をする子が増えてきます。しかし低学年の約束は時間や場所が曖昧で、「待ち合わせしたのに、会えなかった」ということも。子ども同士の約束に、親はどこまで関与すべきなのでしょうか。低学年の心理に詳しい白梅学園大学教授の増田修治さんに聞きました。

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就学前に子ども同士で遊ぶ経験が減っている

 「◯◯ちゃんと公園で遊ぶ!」「◯◯君と遊ぶ約束をしてきた!」

 子ども同士で約束をしてきたけれど、時間や場所などが曖昧で、うれしそうに出掛けた子どもが「会えなかった」としょんぼりして帰って来た、という経験をした親も少なくないでしょう。

 「約束がうまくできないのにはいくつかの理由があります。一つは、就学前に、子ども同士が保育園や幼稚園以外で一緒に遊ぶという経験が少なくなっていることが挙げられます」と、小学校教員として28年間勤務し、低学年の心理に詳しい白梅学園大学教授の増田修治さん。

 「ベネッセ教育総合研究所が5年ごとに実施している『幼児の生活アンケート』によれば、保育園や幼稚園以外で『平日、一緒に遊ぶことが多い人』は、1995年には『友達』と『母親』が50%台後半でほぼ同じでしたが、2015年には『友達』が27.3%、『母親』は86.0%でした。20年間で『友達』の割合が大きく減り、逆に『母親』は年々増加しています。つまり、入学前に子ども同士で約束をして遊ぶという経験が減っているのです。入学後に友達と約束をするようになっても、それまでの経験が少ないので、最初はうまくできないんですね」

ベネッセ教育総合研究所「第5回 幼児の生活アンケート レポート[2016年]」を基にDUAL作成
ベネッセ教育総合研究所「第5回 幼児の生活アンケート レポート[2016年]」を基にDUAL作成

 共働き家庭の場合、平日の放課後は学童通いが一般的で、帰宅して自分たちで約束をして遊ぶ機会は少ないもの。一方で休日も、家族でお出かけをしたり習い事に通ったりするため、友達と遊ぶ時間は減っていると増田さんは言います。

 「本来、子どもたちが子どもたちだけで共有する時間はとても大切です。特に、ギャングエイジといわれる小学校3~4年生は、親や教師よりも友達を大切にし始める時期。自分たちだけの世界を持ち、ルールを作って遊び、楽しい経験や意見のぶつかり合いなどを通して、集団生活に必要な社会性や創造性、協調性を育てていきます。小1~2はその準備段階ですが、ぜひこの時期から、子どもたちだけで遊ぶ経験を豊富にさせてあげたいものです」

 約束に不慣れな子どもたちが公園などで待ち合わせをする場合、時間にずれが生じて、早く行った子どもがひとりぼっちで待つなど防犯面での不安も出てきます。また「約束したのに会えなかった」とがっかりして帰ってくる子どもを見ると、相手の親に連絡を取って、会えるようにしてあげたほうがいいのか? と迷うこともあるでしょう。

 次のページからは、うまく約束をするために子どもに教えておきたいちょっとしたコツと、親の適切な関わり方について、増田さんに聞いていきます。