文部科学省によると、裸眼視力が1.0未満の小学生の割合は年々増加し、40年前のおよそ2倍。低学年から眼鏡を着用する子も少なくありません。けれども子どもの眼鏡の必要性は、視力低下の原因がいわゆる近視なのか弱視なのかによって大きく異なってくるのだそう。子どもの視力低下の主な原因や、症状に応じた眼鏡着用の有無について、こひなた眼科院長の藤巻拓郎さんに詳しく解説してもらいました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 子ども眼鏡 弱視には必須、近視では慎重に ←今回はココ
(2) りんか&あんなの母 子が自信持つ矯正用眼鏡の工夫
(3) コロナ休校の新1年生「勉強楽しみ」の気持ち大切に
(4) 新小1 コロナ休校中は時間割作り「学校ごっこ」を
(5) 学童の役割は?「行きたくない」に親どう対応?

単純近視と弱視では眼鏡の意味が異なる

 「視力が悪くなったら、眼鏡をかけなければ、視力がより悪くなる」と聞いたことがあるかもしれません。

 しかし、小児眼科を専門とするこひなた眼科院長の藤巻拓郎さんは「子どもの眼鏡には、不要時はかけさせない方がいい場合と、常にかけさせないといけない場合の2種類があることを知ってほしい」と言います。

 「小学校低学年の子が視力検査で異常を指摘される場合、その多くは眼鏡などによる矯正視力が正常に出る単純近視(以下、近視)ですが、中には弱視などの病気も含まれています。

 小学生の眼鏡で圧倒的に多いのは近視用の『遠用眼鏡』ですが、最近ではかつて一般的だった『近視=眼鏡はかけっぱなしでいい』という方針が大きく転換され、むしろ『近視=裸眼で見える時は眼鏡は外したほうがいい』ことが分かってきました。一方で弱視の場合は、眼鏡の常用が基本で、対応が180°違ってくるので要注意です」

 次のページから、近視のメカニズムから、子どもの近視・弱視とその治療法などについて、藤巻さんに話を聞いていきます。