新1年生はもちろんのこと、学年代わりの新学期は子どもが不安定になりやすいもの。担任の先生とうまくいっているか、友達と遊べているか、学校で嫌な目に遭っていないか、登校渋りが出たりしないか……子どもと過ごす時間が短くなりがちな共働き家庭では、親のほうが不安のあまり、周りのママ友に探りを入れてしまったり、子どもにしつこく聞いてしまったりしがちかもしれません。とはいえ子どものほうは、過度に心配されることが逆効果になることもあるといいます。

東京都の公立小学校教諭・副校長・校長を歴任し、現在は白百合女子大学教授、東京都スクールカウンセラー、心と学びの支援センターアットホーム代表を務める曽我部和広さんにお話を聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年ママ・パパ向け】
(1) 不安定な新学期 「親独占タイム」を作り向き合う←今回はココ
(2) 低学年の心のケアはスキンシップがすべてではない
(3) 低学年はどこまでOK? 放課後の一人外出ルール
(4) 平日の習い事 何歳から、どこまで自分で行ける?

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

心配し過ぎる親が子どもに気を使わせてしまう

 新1年生はもちろんのこと、クラス替えや担任替えなどもあり、子どもたちが不安定になりやすい新学期。

 長年、小学校で教鞭を取り、現在は大学で教師を目指す学生の指導のかたわら、スクールカウンセラーとしても小学生の子どもやその親の相談を受ける機会の多い曽我部さんは、新学期への不安に対し、「一番大事なことは、親御さんが心配し過ぎないことです」と言います。

 共働き家庭の場合は特に、平日に子どもと過ごす時間が短くなってしまうため、子どもの些細な変化に気づきにくいのではないか、本当は子どもが学校でつらい思いをしているのではないかなど先走って心配してしまうケースが多々あるそう。

 子ども自身は何かトラブルが起きたとしても、意外と上手に子どもなりに処理していることも多いもの。ところが最近は親が過度に不安を感じながら子どもと接するため、子どもが不安定になることがあるといいます。

 曽我部さんが実際に相談を受けた中には、「登校渋りをしている」という子どものお母さんが、学校まで付き添って来て「2時間目が終わるまで見ています」とそのまま帰らずにいたケースも。「本人が『大丈夫だから、このまま給食までいる』と言うのにもかかわらず、『この子は疲れているから』と子どもを連れて帰ってしまったんです。結局そのお母さんの場合、それまでフルタイムで働いていたのに子どものためにと小学校入学を機に仕事を辞めたことでお母さん自身が不安定になり、極度に子離れできなくなってしまったと考えられます」

 子どもは大人が思うよりしっかりしていることが多く、「親の顔色を窺い、『私(僕)があまり大丈夫って言うと、お母さんが悲しくなるかな』と、大した問題が起きていなくても、親を頼るようなそぶりを見せることもあるんです」

 では、心配し過ぎず、子どもが不安定になっていないかを感じ取り、どう対応していくのがいいのでしょうか。

<次のページからの内容>

● 新1年生は広い教室や大きなトイレでも不安に
● 食欲減退や過食などは不安のサイン! 解消法は
● 親子が一対一で向き合える『独占タイム』をつくる
● 根掘り葉掘り『尋問』するように聞くのはNG
● 新学期、4つの準備ポイントを押さえて不安解消
● 新学期、5つの注意ポイント