子どもが小学校に入ると、「お小遣い、そろそろ考えたいな…」と思う保護者も多いことでしょう。でも、「お小遣いはいくら?」「マネー教育はどうやって進めたらいい?」と悩むもの。そんな、小学校低学年のお子さんがいるデュアラーの皆さんに向けて、保護者が意識したい「マネー教育」についてお伝えします。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1)新学期のスケジュール管理 寝る時間、宿題時間
(2)小学校PTA 積極参加、しぶしぶ参加?ノルマは?
(3)PTA 「子どものため」が呪縛になっている
(4)お小遣いの金額よりも「お金を使う経験」が大事 ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

 ひと昔前までは、「小さな子どもにお金の話をするなんて…」と、お金の話題は避ける風潮にありました。お年玉やお祝い金をもらったら、「お母さんが銀行に預けておくからね」と、半ば没収状態(?)だったというデュアラーの方もいるかもしれません。

 ところが最近は、「できるだけ早いうちからお金の話を始めて、マネーリテラシーを身に付けさせたい」という家庭も増えています。「子どもにお金の管理ができるようになってほしい」「自分でしっかり稼げる子になってほしい」「少しでも経済のことを知ってほしい」と、子どもに自立を求める人が増えているのかもしれません。

 とはいっても、共働きで日々忙しく、最近は電子マネーを使う機会が増え、子どものマネー教育といっても、「お小遣いをどうしよう…」といったところから立ち止まってしまいそうです。

親子の会話の中で、少しずつお金について学んでいく

 マネー教育&一時預かり専門の託児施設を運営している、アップストリーム・エデュケーション株式会社代表取締役の鈴木万久美さんは「いきなりお小遣いを渡す前に、親子の会話の中で少しずつお金について考えるのがおすすめ」と話します。

 「そもそも子どもはお金を使ったことがないので、ペットボトルの水が1本何円かが分かりません。水にはサントリーの水もあれば、ボルヴィックの水もあるということも知りませんし、値段がモノによって違うことをまだ知らないんですね。そこで、まずはモノの金額がそれぞれ違うことと、お金の使い方を学ぶために、ゆっくり知っていくことが大事です

 鈴木さんは、学童や塾などで、小学校低学年や高学年のお子さんに、金融リテラシーを学ぶ場を提供しています。

 「それぞれの金額が違うことを学ぶために、小学校低学年のお子さんに行っているのが『動物園を作ろう』というゲームです。どんな動物を選んで、どのように楽しい動物園を作りたいかを考えてもらいます。子どもたちは動物のリストを見ながら、『ゾウが欲しい』『ライオンがいいな』『ウサギは3匹、ペンギンを5匹』と考えます。次に、『ゾウは1000円、ライオンは500円、ウサギは100円』などと、それぞれの値段を伝えます。そして、1カ月当たり使える金額を500円と決めます。すると、『ウサギが欲しいけど、2匹しか買えない』という子もいれば、『ゾウは1000円するから、今月は我慢しよう』という子など、お金の使い方やため方を考えるようになります。そうやって楽しみながら、モノには値段があり、使い方やため方が大事だということを学んでいきます」

 世界にはたくさんの通貨があることも、小さい子どもはなかなか知る機会がありません。

 「『世界にはどんなお金があると思う? みんな円でジュースを買うよね? アメリカに行くと、この日本のお金は使えるかな?』と聞いてみます。『ううん』と言う子もいたり、黙ってしまう子もいたり。中には『ドル!』と言う子もいるのですが、『では、中国はどうかな?』と聞くと、答えに詰まります。そこで、トランプのゲームをします」

そもそも子どもはお金を使ったことがないと、ペットボトルの水がいくらかさえも知らないのが普通
そもそも子どもはお金を使ったことがないと、ペットボトルの水がいくらかさえも知らないのが普通
<次のページからの内容>
● オリンピックの話題から、会社について知るきっかけに
● お小遣いを始める前に、“お金を使うこと”から学ぶ
● 家に帰ったらお小遣い帳をつけよう
● 電子マネーは使ってもいい?
● たくさんお年玉をもらったら、分けて管理を
● “使う”“ためる”以外にも使い方があることを教えよう