わが子が、保育園や小学校での団体行動が苦手だったり、他の子はできることができなかったりという様子を見て、「あれ?」と不安になったことはないでしょうか。「しつけが悪い」などと誤解される場合もありますが、実は「発達障害」の可能性もあるのだそう。

 では、どんなことに注意したらよいのか、確認したいことについてお伝えします。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 新一年生 通学、放課後の安全対策と親の心構え
(2) 「家族ルール」の決め方 留守番・門限・行動範囲
(3) 「うちの子、発達障害かも…」早期発見と対処法 ←今回はココ
(4) 発達障害は子どもと親、両方にサポートが必要

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

発達障害はしつけの問題ではない

 「数年前までは分からなかったことが、医学の進歩や情報の普及によって顕在化し、療育など早期に適切な対処ができるようになった」と、発達障害についてチャイルドファミリーコンサルタントのやまがたてるえさんは指摘します。

 「しかし、そのことによって保護者が必要以上に不安を抱えてしまう傾向が見られます。例えば、20年前は“個性的な子”“成長が少しゆっくりな子”などと捉えられていた子どもたちが、現代では『〇〇障害』というラベルがつくことによって、親御さんがすぐには現実を受け止められないほど大きな精神的ショックを受けることもあるのです。

 子どもの成長・発達は、私たちが育ったころ以上に多様化し、大きな変化が生まれてきています。未就学児・小学生のうちに違和感を覚えていたことが、中学校で初めて“〇〇障害”として顕在化する場合もあります。そうした可能性も視野に入れたうえで、しっかりとお子さんの成長を見つめてみると、『どうして?』という疑問の正体や親に求められる適切な関わり方が見えてくるかもしれません」

 「発達障害」とは、具体的にどんなものなのでしょうか。「発達障害者支援法」には、以下のように定義されています。

【自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの】

 例えば、じっとしていなければならない場面で体が動いてしまってそわそわしたり、立って歩いてしまったりする。ちょっとしたことで手が出てしまったり、暴言を吐いたりする。保育園などで周りの子どもとなじめず、活動から外れてしまう。こうした子どもの行動も、背景に発達障害があることで起きている場合があります。

 どんぐり発達クリニックの宮尾益知院長は、「発達障害は先天的、つまり生まれながらの脳の機能障害であり、脳の働きにうまくいっていないところがあるということです。より具体的に言えば、脳のネットワークに不具合があると考えてもらうといいと思います」とアドバイスします。

 時に「親の教育がなっていない」とか「子どもの性格が悪い」などと周囲から言われるケースもありますが、発達障害というのは生まれながらの特性であって、子ども本人がだらしなかったり、我慢が足りなかったりということではありません。もちろん親のしつけが原因でもないのです。

<次のページからの内容>
●発達障害チェックシート
●発達障害の3つの種類と、それぞれの特徴
●より問題なのは、実は「二次障害」
●早期の発見、相談が二次障害を防ぐ
●発達障害は“発達の凹凸”