親世代が子どもの頃、花粉症の子どもはほとんどいませんでした。しかし最近では、早ければ2歳でも花粉症を発症するのだといいます。一度発症してしまうと、自然に治癒することがほとんどない花粉症。どうすれば発症前から、予防できるのでしょうか?

前回に引き続き、はりまざかクリニック院長で日本医科大学教授、順天堂大学客員教授の三輪正人医師と、ユアクリニック秋葉原院長の杉原桂医師にお話を聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 大人とは違う「子どもの花粉症」 どう見極める?
(2) 花粉症から子どもを守る 発症前の予防ノウハウ ←今回はココ
(3) 無駄な会議よさようなら! 仕事と両立できるPTA改革
(4) PTAは無駄? 親の逃げ腰を子どもは見ている

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

一度に大量の花粉に触れないことが大切

 冬の寒さが和らぎ、木々が芽吹き始める春。そんな春の訪れを、くしゃみや鼻水などの花粉症の症状によって知るのは、できれば避けたいですよね。

 鼻がムズムズする、くしゃみが出る、目がかゆいなどの症状が続くと、大人でも日常生活に支障がでます。せめてわが子には、花粉症によって遊びや勉強に集中できないなんてことがないようにしてあげたいのが親心です。しかし、そう思う一方では、「症状がないのなら、対策をする必要もないのでは?」と考えがちではないでしょうか。はりまざかクリニック院長の三輪正人医師は言います。

 「花粉症をはじめとするアレルギー疾患は、一度、発症すると自然に治癒することはほとんどありません。最近では、2歳のお子さんでも1割が花粉に感作されているといわれています。『感作』とは、症状はなくても既に体がアレルゲンに反応している状態のこと。これまで発症していなかったといって、今年も発症しないとは限らないのです」

 花粉症対策といえば、花粉にできるだけ触れないようにする方法が広く知られています。

 「花粉症のリスクは、一度に大量の花粉と接触することで高まりますが、ごく微量であれば、体は自然と順応していきます。近年、注目されている舌下免疫療法は、あえてその性質を利用し、スギ花粉をごく微量ずつ取り続けて症状を緩和しているのです」

 そう話すのは、ユアクリニック秋葉原院長の杉原桂医師です。

 「ただし、この時期には空気中にも大量の花粉が舞っています。普通に生活しているだけでも想像以上の量の花粉を吸い込んでしまいますから、やはり、できるだけ花粉を生活の場に取り込まないことが重要です」

 具体的には、以下のような対策が挙げられます。

・外出時につばの広い帽子をかぶる。
・マスクやメガネをかける。
・花粉が付きにくい上着を着る。
・衣類に付いた花粉をよく払ってから室内に入る。
・空気清浄機はリビングではなく、玄関に設置する。

 とはいえ、せっかく暖かくなってきたのに、子どもにマスクやメガネを強制するのも気が引けます。もっと、子どもの生活スタイルに配慮した予防方法はないのでしょうか?

<次のページからの内容>

● 「鼻うがい」で粘膜についた花粉を除去する
● 粘膜に潤いを与えて、花粉症を予防する
● 鼻から吸って、鼻から吐く。鼻粘膜を潤す「呼吸法」
● 免疫力を下げないためにも、「睡眠時間」をしっかり確保して