新型コロナウイルスの流行によって、子どもたちが思うように外遊びができず、室内を中心に過ごす日々が続いています。とはいえ、育ち盛りの低学年は体を動かすことが大事。低学年と運動の関係について、改めて、この時期の子どもにとって必要な運動量や、健康な体をつくる上での運動の大切さについて、早稲田大学スポーツ科学学術院教授でスポーツドクターの鳥居俊さんにお話を聞きました。前後編でお伝えします。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) キスシーンのあるマンガ 低学年から読んでもOK?
(2) 低学年は骨の強度高める時期 運動不足だとどうなる ←今回はココ
(3) 低学年に適した運動とは? 過度な運動にはリスクも

小学生の運動能力・時間が低下している

 「現代の小学生の運動能力は、水準の高かった昭和50~60年代に比べて低下しています」とスポーツドクターで、子どもの運動能力の発達に詳しい鳥居俊さんは話します。

 1964年(昭和39年)以来、スポーツ庁による*「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」が実施され、その中で子どもたちの運動能力についても、握力、50m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げなど決まった項目で調査が行われています。この調査の結果、子どもの運動能力の低下が見られるとの指摘があります。鳥居さんによるとそもそもの一番の課題は「運動時間の減少」だといいます。

 「子どもの運動時間の減少は日本だけでなく他の先進国も抱える課題です。塾通いなどのほか、テレビや電子ゲームなどに費やすスクリーンタイムと呼ばれる時間が増えていると考えられます。日本の調査結果では、体育の時間以外の運動時間が0分という小学生も存在します。この運動時間には、外遊びの時間も含まれています。つまり体を動かす外遊びを好むはずの小学校時代にもかかわらず、外遊びを全くしない子が一定数いるということになります。ここまで運動の機会が少ないということは、健全な体を作る上で問題です」

 こうした子どもたちの運動量の低下は、成長期の子どもたちにどのような影響があるのでしょう。また、子どもの適度な運動量を確保するために、親として心がけるべきことは? 次のページから鳥居さんに詳しく聞いていきます。

*2015年以前の調査は文部科学省が実施

低学年の子の親が知っておきたい運動不足の現実

・現在の小学生の運動量の現状とは?
・運動不足のタイプの子の他にもいる、注意が必要なタイプとは?
・低学年の運動不足は、骨の強度に影響
・低学年のうちから心がけるべきこととは?