今や国民病の一つに数えられている花粉症。すでに自分自身が花粉症を発症している大人からすると、「大人と子どもの花粉症には違いがある」とは、あまり考えないかもしれません。しかし、子どもの花粉症には特有の傾向があるといいます。

親が知っておきたい「子どもならではの花粉症の特徴」とはどのようなものでしょうか? 今回は、はりまざかクリニック院長で日本医科大学教授、順天堂大学客員教授の三輪正人医師と、ユアクリニック秋葉原院長の杉原桂医師にお話を聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 大人とは違う「子どもの花粉症」 どう見極める? ←今回はココ
(2) 花粉症から子どもを守る 発症前の予防ノウハウ
(3) 無駄な会議よさようなら! 仕事と両立できるPTA改革
(4) PTAは無駄? 親の逃げ腰を子どもは見ている

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

花粉症になると、他にもアレルギーを発症している可能性が高い

 花粉症の3大症状といえば、「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」です。これらは季節性のアレルギー性鼻炎であり、人によっては、目のかゆみ、充血、涙目などのアレルギー性結膜炎を伴います。

 そんな花粉症の発症者は、年々増えています。これは子どもにも言えることで、東京都福祉保健局が都内3カ所で実施している「花粉症患者実態調査(2016年度版)」によると、都内在住者のスギ花粉症推定有病率は48.8%。年齢別で見ると、0〜14歳の推定有病率が40.3%と、10年前の26.3%より14%も上回っていることが分かります。はりまざかクリニック院長の三輪正人医師は言います。

 「乳児湿疹に始まり、小児喘息、食物アレルギーなどを次々と発症することをアレルギーマーチと言います。それらの最後に発症するのが、アレルギー性鼻炎です。他のアレルギーが10歳前後で改善していくのに対し、アレルギー性鼻炎は、10歳から急激に増加します。アレルギー性鼻炎を発症した頃には、すでに他のアレルギーも発症している可能性が高いのです」

 「花粉症になりやすい子には、親にも何らかのアレルギーがあったり、過去、本人に乳児湿疹や喘息などがあったりする傾向があります。それだけではありません。『鼻アレルギー診療ガイドライン』によると、スギ花粉症を併発する子に多いアレルギー性鼻炎は、女児より男児の方が2倍罹りやすいというデータがあります。こうした傾向は、大人には見られません。つまり子どもと大人では、アレルギー性鼻炎の特性が異なるのです」

 三輪医師によると、花粉によるアレルギー性鼻炎は、できるだけ早い段階で治療を始めるのが効果的だといいます。早期発見のため、親が知っておきたい「子どもならではの花粉症の症状」とは一体、どのようなものなのでしょうか?

<次のページからの内容>
● 子どもの花粉症 隠れた鼻づまりに注意
● 症状があっても受診しない人が半数以上
● 花粉症の治療薬は、薬物治療と減感作療法の2つ
● 5歳以上でも、舌下免疫療法が解禁
● 近年増えている「ヒノキ花粉」にも要注意!