中学受験、真っただなかのこの時期、小学校低学年のお子さんがいるご家庭でも、「うちの子は、中学受験をするのか」「中学受験をする場合、いつから、どんな塾に通わせればいいのか」「中学受験対策の塾に通うために、他の学習塾に通わせておかなければならないのでは…」といった疑問を持ち、先輩パパやママの意見を聞くことが多くなっているのではないでしょうか。

 実際、中学受験のプロ家庭教師、西村則康先生の元には、小学1~2年生の親御さんから「いつから受験勉強を始めたらいいの?」「塾はいつからどこに行けばいいの?」という、勉強に関する質問が多く寄せられるといいます。これに対し西村先生は「能力や学力の発達段階に応じて、早めの準備をすることには賛成ですが、受験学習の前倒しには警鐘を鳴らしたいと思います」とおっしゃっています。

 では塾選びの前に、何をすればいいのでしょうか。先取り学習の注意点とは?

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子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

早期英才教育のほとんどは役に立たない

 小学校に入学した途端、気になるのが「塾通い」。

 小学校受験をしたお子さんの場合、幼児教室に通っていたケースが多いと思いますが、それ以外にも今や未就学時代から“学習塾通い”をする子どもが増えていると聞きます。その理由の一つに「中学受験を視野に入れた大手進学塾に入るのに有利だから」というものがあります。

 しかし中学受験のプロ家庭教師、西村則康先生は、「本当のところ、早期英才教育のほとんどは役に立たないと私は思っています」と警鐘を鳴らします。

 西村先生によれば、人間の脳は特別なことは何もしなくても自然に成長していけるだけのプログラミングがきちんと施されています。ところが間違った英才教育では、そのプログラミングを無視して、無理やり脳をより早くつくりあげようとする。ところが「促成栽培ならぬ、促成教育をしようとすれば無理が生じる」というのです。

 「そもそも、子どもの成長に早道などありません。だから人間が自然に育っていくプログラミングに応じて、その年齢なりのベストを目指してほしい」と西村先生。

 英才教育のシステムに合う子どもも、時々いますし、周りでそういう子どもがいるかもしれません。「でもそれは、大脳が極端に早く発達した子で、全体の5パーセント以下だと思います」と西村先生。その5パーセントに入っていない場合、英才教育を受けた子どもはどうなるのでしょう?

<次のページからの内容>
● 「なぜそうなるのか?」という知的疑問を持たずに育つ可能性
● 子どもの学力の3段階とは?
● 基礎知識には「読み・書き・そろばん」
● 毎日続けることが大事、適量は
● 「読み・書き・そろばん」以外にもう1つ大切なこと