宿題も明日の用意も自分のことのはずなのに、なぜ親が言うまでやらないのか? いつまでこんなことを言い続けなくてはいけないのか? そんなわが子にうんざりしている親は少なくないはず。どうすれば子どもは先を読んで自分で動けるようになるのでしょう。サイタコーチングスクールを主宰する江藤真規さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1)ママ友がときどき、しんどい…上手な距離の取り方は
(2)言わないと動かない子「自分ごと化」促す4つのポイント ←今回はココ
(3)低学年から古典に親しむ

デジタル化が進む中、「自分ごと力」がますます重要に

 毎晩「そろそろ明日の支度しなさい」と親に言われるまで、翌日の学校の用意をしない。家を出る時間がギリギリになってしまうのに、毎朝同じようにダラダラしている。図書館に本を借りに行くのに自分でかばんを持とうとしない、電車に乗るのに交通系ICカードを持っていこうとしない……。こんなことで日々イライラしてしまっている人は少なくないのでは。どうしたら子どもは先を読んで自分から動けるようになるのでしょう。

 「こうした悩みは子育て中の親の『あるある』ですね。特に仕事をしている親ほどイライラを感じやすいかもしれません。なぜなら、仕事を持つ親は仕事の世界で日々先読み力に磨きをかけている『先読みエキスパート』である一方で、子どもは経験値がまだないに等しい『先読み初心者』。親子の力量の差がとても大きいからです」。こう話すのは子ども教育の専門家で、子育てコーチングスクールを主宰する江藤真規さん。自身も2人の娘を育ててきた母親でもあります。

 「先読み力とは何か、もう少しかみ砕いた表現をすると、『段取り力』とか、『自分ごと化』ということ。つまり自分の頭で考える習慣をつけることで、まさに生きる力の基盤です」

 江藤さんによると、こうした力は今後ますます重要になってくるそうです。

 「デジタル化が進む中で、タブレットで出された課題や宿題まで親がすべてサポートしたり、管理したりすることは難しくなってきています。さらに、子どもがスマホを持つようになれば、ますます親の目は届かなくなります。こうした環境にあって子ども自身による自己管理能力・自己決定能力がこれまで以上に大事になってくるのです」

 低学年の時期こそ「自分で考える力」を身に付けるチャンスだと江藤さん。ただし、いつまでたっても親が言わないと子どもができないという場合、それは子どもではなく親の問題だそう。

 次のページから、子どもが自分で考え行動できるようになるための4つのポイントや、親が注意すべき点などについて詳しく聞いていきます。