悪口を言った、言われた、叩いた、叩かれた…。小学校低学年の子どもを持つ親なら、子どもと友達の間で起こる、このようなトラブルを経験したことがあるかもしれません。そもそも低学年の子どもの発育にとって、「友達」の存在はどのような意味があるのでしょう。また、トラブルが生じたとき、どのように解決すればいいのでしょうか。東京学芸大学教育学部の教授で、スクールカウンセラーでもある松尾直博さんに聞きました。後編では子どもが友達との間に抱えがちなトラブルとその対処法を紹介します。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 好印象な服選びは子の人生にプラス 上手なアドバイスは
(2) 低学年 友達の存在で育まれる3つの大切な感覚
(3) 仲間外れ、押した押された…低学年友達トラブルどう解決 ←今回はココ

 前編記事「低学年 友達の存在で育まれる3つの大切な感覚」では、友達との交流が子どもにさまざまなポジティブな感情を与え、成長に不可欠であることを紹介しました。ただ、友達との関係にはいじめやケンカなどのトラブルもつきものです。

 低学年の子どもは、高学年に比べ、トラブルが多いという統計もあります。文部科学省による『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』では、2019年度の小学校でのいじめや暴力行為の件数が報告されています。例えば、「いじめの認知件数」。国立、公立、私立の1~6年生合計は約48万4000件でした。このうち、2年生は約9万6000件と5分の1を占め最も多く、次いで3年生の約9万1000件、1年生の約8万7000件と続きます。6年生は最も少なく約5万4000件でした。

 東京学芸大学教育学部の教授で、スクールカウンセラーでもある松尾直博さんは「小学校という新しい世界に入ったばかりの子どもは不安を抱えがちです。不安感から友達につらく当たったり、無視をしたりといった行為に出ることがあり、それがトラブルに発展することは少なくありません。

 1年生の時にはまだ子ども同士にも『遠慮』があることが多いです。それが、2年、3年と成長する過程で慣れに変わり、トラブルが発生します。一方、4年生以降は精神の発達に伴いそういったトラブルが減るのです。だたし、数は減りますが、深刻なトラブルは高学年や中学生になってからの方が増えてくる側面もあります」

 次ページ以降では、低学年の子どもが抱えがちな友達との間のトラブルとその解決策を紹介していきます。