子どもに自然を体験させたいけど「都会では難しい」「休日も遠出する余裕はない」。そう諦めているママ・パパは多いのではないでしょうか。保育園児らにネイチャープログラムを実施している専門家に、都会でも自然に触れられ、短時間でも子どもの満足値を上げられる、目からウロコのアイデアを教えてもらいました。最も重要なのは「親のモードチェンジ」。第1回目は「親の心構え」、第2回目は「冬の公園の遊び方」をテーマに2回に分けてお届けします。せっかく同じ時間だけ公園で過ごすなら、いつもより「濃い時間」にしてみませんか。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1)親が「姿勢」を変えれば都会の公園で自然体験は可能 ←今回はココ
(2)冬の公園の攻め方 パパは舞台俳優になるべし
(3)寝相が悪いほど「脳にはいい」ってホント?
(4)どうすれば“返済”できる?子どもの睡眠負債

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

自分が「大人のスピード」で動いていることを理解しよう

 「自分自身もそうですが、今のパパ・ママはとても忙しくて、分単位や、時には秒単位で日々動いてますよね。何時までにこの仕事を済ませて、食事を作りながらお風呂も準備して、というように、仕事も家事もスピード感をもって効率的にこなしています。ともすると、子どもと関わるときも、そのスピード感で接してしまいがち。でもそれはすべて大人の考え方に基づいた、大人の社会の道理なんですよね」。そう話すのは、保育園や幼稚園などでネイチャープログラムを実施している有限会社ビーネイチャーの長谷部雅一さんです。

 長谷部さんが公園で気になるのはこんな光景だという。「公園に連れてきたと思ったら、子どもをチラチラ見ながら親はスマホチェックに夢中。声をかけるとしても、たまに『そろそろ水を飲みなさい』と伝える程度。これでは子どもは『親と関わって遊んだ』という実感を持てないため、帰宅後も『遊んで遊んで』と親と絡みたくなる。親としては『もう公園でたっぷり遊んであげた』と思っているので、『さっき遊んだじゃない』といら立ってしまいがち。せっかく一緒に過ごせる貴重な時間なのに、親子がすれ違う残念な結果になってしまいます」。

思い切り叫ぶ、跳ぶ、自然の中で解放してあげる大切さ

 「今の都会の子どもたちは、思い切り叫んだり、ジャンプしたりしにくい環境にいますよね。自然の場を借りると、そういう解放もできます」。長谷部さんは、未来の地球を受け継ぐ次の世代にこそ自然体験が必要だと感じ、大人向けのネイチャープログラムをメインに行っている会社で、13年前から幼児向けのプログラムも開始させました。自然体験と聞くと、郊外の緑豊かな場所に限定されるのでは、と思いがちですが、「極端な話、10m×10mの都会の公園でも、道端の街路樹でも自然体験は可能です」と長谷部さん。

 長谷部さんが保育園や幼稚園で取り入れているネイチャープログラムには、自然と触れ合うなかで、ボディーバランスを鍛えたり、「順番を守る」「我慢する」などの社会性を育んだりする狙いもあります。活動の後は、保育士や先生に対して、裏にどんな意図があったかなどの「種明かし」のセッションも行っています。

 そんな長谷部さんに、都会の公園で自然と触れ合って遊ぶためのコツを教えてもらいました。「普段忙しいときは仕方がないと思いますが、『今日は2時間公園で遊ぶ』と決めたら、まず親が姿勢を変えることが大切です」と長谷部さんはアドバイスします。

<次のページからの内容>
・短時間でも子どもの満足値を上げるには
・何より大切な「親のモードチェンジ3カ条」
・ママとパパもちょっとだけ◯◯◯◯になる
・親のための必須の持ち物は?
・図鑑を買ってあげるよりも、プチトマトの空きパック