気温が低くなるにつれ、子どもが風邪を引くことも増えます。発熱、鼻水などと並び、風邪の症状の中で、せきは代表的なものの一つです。ハピコワクリニック五反田院長の岸本久美子さんに、注意が必要なせきの種類や原因、家庭でできる予防や緩和策について聞きました。

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 子どもがせきをしていると「大丈夫かな」「保育園のお友達に風邪をうつしちゃうのでは」などと心配になりますよね。今はコロナの心配もあり、子どものせきが少し続くだけでも、「医療機関を受診したほうがいいのでは」と迷ってしまうかもしれません。

 そもそも、せきとは何なのでしょうか。岸本さんは、「せきは人間が持っている『防御反応』です。つまり、せき自体は悪いものではありません。人が呼吸をする際、空気は口や鼻から喉、気管、気管支を通り、肺に到達します。空気と一緒に、ほこりやウイルスも入っていきます。その過程で喉や気管にこれらの異物が付くと人の体は『異物が入ってきた。排出しよう』と反応します。この反応がせきです。

 ただ、子どもの場合、気道が大人に比べて狭いために、悪化しやすく、ひどい場合には呼吸が困難になったり、夜眠れずに体力を消耗したりしてしまうために、特に注意が必要なのです。また、子どもは鼻水を自分で排出できず、喉に垂れてきてしまい、それを排出しようとせきが出ます。問題はせき自体ではなくその原因や付随する呼吸困難や体力の消耗です。原疾患の診断とそれに対する適切な治療が必要です」

 せきのもう一つの役割は「たん」の排除です。

 「たんは喉や気管に炎症が起きた際に多く分泌される粘液です。ウイルスやほこりなどの異物を絡め取り排出するためにつくられます。このたんが喉にたまると、呼吸が困難になるため、せきで排出しようとしているのです」

 では、どのようなせきに注意すべきなのか。子どもがせきをし始めた際に、チェックしたいポイントや自宅で症状を緩和させるためにできることを次ページ以降、紹介します。